母子家庭で賃貸に住んでいるなら、住宅手当を申請してみましょう

母子家庭で賃貸物件に住んでいる方は多いですが、母子家庭や父子家庭、ひとり親家庭の方を経済的に支援してくれる制度のひとつ、住宅手当はご存じでしょうか?

元々持ち家に住んでいて、母子家庭になっても住み続けることができるのであれば、家賃を払う必要はないですが、多くの方はアパートなどの賃貸物件に引っ越しして、毎月家賃を払っていると思います。

部屋の数、部屋の大きさなどは、子供のことを考えると少しでも多くて広い物件に住みたいですが、家賃とも兼ね合いで、なかなか思うような所は見つからないですよね。

また、自分の職場や子供の学校に近い方がいい、病院が近い方がいいなど、希望を上げれば上げるほど立地的に良い場所になって、どうしても家賃は高くなってしまいます。

経済的にも苦しいことが多い母子家庭にとって、家賃はなるべく安く抑えたいでしょう。そのため、生活にも不便な物件をやむなく選んだ、という話も耳にします。

でも、すぐにあきらめるのは待ってください。住宅手当という支援制度を利用するという方法があります。もし住宅手当を受けることができたら、思うような場所に住むことができるかもしれないですよ。

目次

母子家庭の住宅手当とは?

母子家庭の住宅手当とは、母子家庭の方が済んでいる物件の家賃の一部を助成してくれる制度で、父子家庭やひとり親家庭の方も対象になっています。

母子家庭の方を経済的に支援してくれる制度はたくさんありますよね。その多くは国による支援ですが、中には各自治体による支援制度もあり、この住宅手当は各自治体による支援となっています。

国による支援では、その支援を受けることができる条件や支援額は国が決めており、全国一律の支援もあれば、地域による物価の差などを考慮して地域や県で分けている支援もあります。

住宅手当は各自治体による支援ですから、支援が受けられる条件や支給額は各自治体が決めています。そのため、同じような物件に住んでいても支給額が違う、ということが普通に起こります。

また、自治体によっては住宅手当の制度がない、ということもあります。これは国による支援との一番の違いでしょう。国による支援なら、ある地域だけ対象外、ということはないですが、住宅手当は各自治体の判断によるものなので、制度がないこともあります。

そのため、自分の住む地域の自治体に住宅手当の制度があるか、まず確認が必要ですね。

母子家庭で住宅手当が受けられる条件

母子家庭で住宅手当が受けられる条件には色々とありますが、どの自治体にもほぼ共通していると言えるのは、以下の通りです。

① 母子家庭、父子家庭、ひとり親家庭であること
② 一定の年齢未満の子供を扶養していること
③ 民間の賃貸物件に住んでいること
④ 自治体の管轄する地域に住民票があり、一定の期間住んでいること
⑤ 生活保護を受けていないこと
⑥ 所得制限以下の所得であること

① 母子家庭、父子家庭、ひとり親家庭であること

これについては特に疑問はないですよね。住宅手当は、これが大前提の制度です。

② 一定の年齢未満の子供を扶養していること

同居する子供の扶養が条件ですが、対象になる年齢の年齢は、20歳未満や18歳未満、18歳になる次の3月31日までなど、自治体によってまちまちです。

③ 民間の賃貸物件に住んでいること

民間の賃貸物件とは、個人オーナーもしくは企業が運営している物件のことです。テレビなどでよく見るような大手の不動産などが貸し出している物件ですね。市営住宅や県営住宅などの公営住宅に住んでいる方は、もともと家賃が安いはずので、住宅手当を受けることはできません。

④ 自治体の管轄する地域に住民票があり、一定の期間住んでいること

住宅手当は自治体による支援ですから、これはもっともな条件ですね。住んでいる期間は6ケ月や1年など、自治体によって変わってきます。

⑤ 生活保護を受けていないこと

生活保護の中には住宅手当よりも手厚い支援があることから、どの自治体でも両方の支援を受けることはできません。

⑥ 所得制限以下の所得であること

各自治体の決める所得の上限を超えると、母子家庭であっても住宅手当は受けられません。経済的な支援ですから、所得の多い家庭なら支援は必要ない、という判断ですね。所得制限の金額もまた、各自治体で変わります。

このほかにも自治体によっては

・住宅を所有していないこと
・市税などの税金を滞納していないこと
・公営住宅に落選した方

など、様々な条件があるので、こちらも自治体に要確認です。

母子家庭の住宅手当の支給額

母子家庭の住宅手当の支給額もまた、自治体ごとに違いますが、5,000円から10,000円、多いところで15,000円くらいが相場です。

また、家賃の上限や下限を条件としている自治体もあり、家賃が1万円以下だと住宅手当はもらえなかったり、家賃が58,000円以上では支給対象外としているところもあります。

いくつか例をあげて見てみます。(いずれも月の支給額です)

東京都

千代田区:最大50,000円
新宿区:30,000円
目黒区:20,000円
豊島区:15,000円
渋谷区:2人世帯最大64,000円

支給額が多いのは、物価が高く、家賃も全体的に高いからでしょう。同じ東京でも、世田谷区や港区、中央区、品川区などは住宅手当の制度はありません。

23区以外では、国立市や武蔵野市などが住宅手当を実施しています。

武蔵野市:1万円

千葉県

浦安市:月額上限15,000円
君津市:上限15,000円

埼玉県

蕨市:10,000円

ただし、家賃が30,000円以上という条件があります。

神奈川県

鎌倉市:上限9,000円
海老名市:5,000円

愛知県

名古屋市:住宅手当の制度なし

ちょっと意外ですが、名古屋市は住宅制度ほ実施していないようです。

大阪府

堺市:家賃が50,000円を超える分を月20,000円まで

兵庫県

神戸市:最大15,000円

調べてみると、住宅手当を実施していない自治体も結構多かったので、やっぱり自治体への確認は欠かせないですね。

母子家庭の住宅手当の申し込み方法

母子家庭の住宅手当の申し込み方法は、基本、市役所や区役所などの担当の窓口に行って申請をすることになります。

窓口で申請のための書類をもらって所定事項を記入し、決められた添付書類を添えて窓口に提出します。

添付書類としては、東京都武蔵野市の場合は

・借家賃貸借契約書
・身元確認書類
・ひとり親であることを証明する書類
・申請者の銀行口座番号が確認できるもの
・住民税課税証明書

となっています。これだけの書類を揃えるのは結構大変です。

千葉県君津市の場合は、

・印章(はんこ)
・賃貸借契約書の写しまたは家賃証明書
・戸籍謄本
・所得証明書:扶養人数、各種控除の記載があるもの(君津市で課税状況が確認できない方)

となっています。半日くらい役所で過ごすくらいの覚悟がいりそうですね。

住宅手当の申請に必要な書類と準備の手順

ここからは、母子手当を受けるための申請方法、準備しておく資料などについて、詳しく解説していきます。

申請時に必要な書類

住宅手当の申請には、いくつかの重要な書類が必要となります。これらの書類は、生活状況や収入、家賃などを証明するもので、申請の審査において重要な役割を果たします。以下に、申請時に必要な主な書類を詳しく解説します。

住民票

住民票は、あなたが現在どこに住んでいるかを証明する書類です。これは、市町村の役所で取得できます。住民票には、住所や世帯構成、生年月日などが記載されています。これにより、あなたが申請資格を満たしているかどうかを確認することができます。

所得証明書

所得証明書は、年収を証明する書類です。これは、市町村の役所や税務署で取得できます。所得証明書には、年収や所得源が詳細に記載されています。これにより、経済状況を確認し、手当の支給額を決定します。

家賃契約書

家賃契約書は、あなたが現在どれだけの家賃を支払っているかを証明する書類です。これは、あなたが家を借りたときに不動産業者からもらったものです。家賃契約書には、家賃の金額や支払い日、契約期間などが記載されています。これにより、住宅費の負担を確認します。

ひとり親であることを証明する書類

ひとり親であることを証明する書類は、あなたがひとり親であることを証明するためのものです。これには、離婚証明書や死亡証明書などが含まれます。これらの書類は、裁判所や役所で取得できます。

これらの書類をしっかりと準備えて、申請に臨むことが大切です。また、市町村によっては、これら以外にも必要な書類があるかもしれません。そのため、申請前には必ず自分が住んでいる市町村の役所に問い合わせて、必要な書類を確認しておきましょう。

書類の準備手順

住宅手当の申請に必要な書類の準備は、申請成功のための重要なステップです。以下に、各書類の準備手順を詳しく解説します。

住民票の取得

まずは、住民票を取得しましょう。住民票は、市町村の役所で取得できます。窓口で住民票の発行を依頼し、必要な手数料を支払うことで取得できます。住民票はその場で発行されることが多いので、役所に行った日に手に入れることができます。

所得証明書の取得

次に、所得証明書を取得します。所得証明書は、市町村の役所や税務署で取得できます。窓口で所得証明書の発行を依頼し、必要な手数料を支払うことで取得できます。所得証明書の発行には時間がかかることがあるので、早めに手続きを始めましょう。

家賃契約書の準備

家賃契約書は、あなたが家を借りたときに不動産業者からもらったものです。もし手元にない場合は、不動産業者に連絡して再発行を依頼しましょう。再発行には時間と手数料がかかることがあるので、こちらも早めに手続きを始めることをおすすめします。

ひとり親であることを証明する書類の準備

最後に、ひとり親であることを証明する書類を準備します。これには、離婚証明書や死亡証明書などが含まれます。これらの書類は、裁判所や役所で取得できます。再発行には時間がかかることがあるので、こちらも早めに手続きを始めましょう。

これらの書類を準備することで、住宅手当の申請がスムーズに進むようになります。一つ一つ丁寧に手続きを進めていきましょう。また、書類の準備が整ったら、それらを安全な場所に保管しておくことも忘れないようにしましょう。申請日が近づいたら、必要な書類がすぐに手に入るようにしておくと、安心です。

住宅手当を受けるためのアドバイス

住宅手当の申請をスムーズに進めるためのアドバイスをいくつかご紹介します。

申請前の準備

住宅手当の申請には、事前の準備が必要となります。これは、申請がスムーズに進むようにするため、また、申請が無事に通る確率を高めるためです。以下に、申請前に行うべき準備を詳しく解説します。

必要な書類の確認

まずは、申請に必要な書類を確認しましょう。住民票や所得証明書、家賃契約書、ひとり親であることを証明する書類などが必要となります。これらの書類は、申請の審査において重要な役割を果たします。また、市町村によっては、これら以外にも必要な書類があるかもしれません。そのため、申請前には必ず自分が住んでいる市町村の役所に問い合わせて、必要な書類を確認しておきましょう。

書類の準備

必要な書類を確認したら、次にそれらの書類を準備します。書類の取得には時間がかかることもあるので、早めに行動に移しましょう。また、書類に間違いがないかどうかも確認しておきましょう。間違いがあると、申請が通らないだけでなく、再度書類を取り直す手間が発生します。

申請の流れの確認

最後に、申請の流れを確認しておきましょう。申請はどこで行うのか、どのような手続きが必要なのか、申請から支給までの期間はどのくらいなのかなど、事前に知っておくと安心です。これらの情報は、市町村のホームページや役所の窓口で確認できます。

申請時の注意点

住宅手当の申請には、いくつかの注意点があります。これらを把握しておくことで、申請がスムーズに進み、無事に手当を受け取ることができます。以下に、申請時の注意点を詳しく解説します。

書類の正確性

申請に必要な書類は、全て正確に記入しましょう。間違いがあると、申請が通らないだけでなく、再度書類を取り直す手間が発生します。また、虚偽の記載があると、法的な問題につながる可能性もあります。そのため、書類を記入する際は、十分に時間をかけて確認しましょう。

申請期限

住宅手当の申請には期限があります。期限を過ぎてしまうと、申請が受け付けられない場合があります。そのため、申請期限を確認し、余裕を持って申請を行うようにしましょう。また、申請期限は市町村によって異なることもあるので、自分が住んでいる市町村の役所に問い合わせて確認しておきましょう。

申請の手続き

申請の手続きは、市町村の役所で行います。しかし、役所の営業時間内に行くことが難しい場合は、事前に役所に連絡してみましょう。場合によっては、郵送での申請や、特別な時間帯での申請を受け付けていることもあります。

これらの注意点を把握しておくことで、申請がスムーズに進み、無事に住宅手当を受け取ることができます。

住宅手当の申請に成功した母子家庭の体験談

住宅手当の申請は、一見難しそうに見えるかもしれません。しかし、実際に申請に成功した母子家庭の体験談を聞くと、その道のりが少し明確になることでしょう。ここでは、実際に住宅手当を受け取っている母子家庭の体験談を2つご紹介します。

事例1

まずは、Aさんの体験談から見ていきましょう。Aさんは、3年前に離婚し、子ども2人と一緒に新しい生活を始めました。初めての一人親家庭生活は大変で、特に家賃の支払いに苦労していました。そんなとき、友人から住宅手当の存在を教えてもらい、申請を決意しました。

Aさんは、まず自治体のホームページで必要な書類を確認し、一つ一つ準備しました。書類が揃ったら、役所に申請に行きました。初めての申請だったので不安もありましたが、役所のスタッフが丁寧に説明してくれたので、スムーズに申請を進めることができました。

申請から約1ヶ月後、Aさんは住宅手当の支給決定の通知を受け取りました。これにより、家賃の負担が軽減され、生活が少し楽になりました。Aさんは、「住宅手当の申請を決意したことは、私の生活を大きく変えた」と話しています。

事例2

次に、Bさんの体験談を見ていきましょう。Bさんは、夫を亡くしてから5年、一人で子どもを育てています。夫を亡くした当初、生活は大変で、家賃を払うのも一苦労でした。しかし、役所の相談窓口で住宅手当のことを知り、申請を決意しました。

Bさんも自治体のホームページで必要な書類を確認し、準備を始めました。書類の準備には時間がかかりましたが、役所のスタッフが親切にサポートしてくれたので、無事に申請を進めることができました。

申請から約2ヶ月後、Bさんは住宅手当の支給決定の通知を受け取りました。これにより、家賃の負担が大幅に軽減され、生活が安定しました。Bさんは、「住宅手当の申請を決意したことは、私の生活を助けてくれた」と話しています。

これらの体験談からわかるように、住宅手当の申請は、母子家庭の生活を支える大きな力となります。申請には手間がかかるかもしれませんが、その結果得られる安心感と生活の安定は、その労力を上回るものです。

住宅手当以外の母子家庭を支援する制度

住宅手当は、母子家庭の生活を支える大きな力となりますが、それだけではないですよ。実は、住宅手当以外にも、母子家庭を支援するためのさまざまな制度が存在します。ここでは、その中から2つの制度をご紹介します。

児童扶養手当

児童扶養手当は、母子家庭などで子育てを行っている家庭を支援するための制度です。この手当は、子どもを養育する責任を一人で負っている親が対象となります。以下に、児童扶養手当について詳しく解説します。

児童扶養手当の対象者

児童扶養手当の対象となるのは、18歳未満(高校を卒業するまで)の子どもを養育している親です。また、親が一人で子どもを養育している場合、つまり、離婚、死別、未婚の母親などが対象となります。ただし、再婚やパートナーとの同居など、新たな養育責任者がいる場合は、手当が受けられない可能性があります。

児童扶養手当の申請方法

児童扶養手当の申請は、住んでいる市区町村の役所で行います。申請には、必要な書類を準備する必要があります。具体的には、申請書、身分証明書、子どもの戸籍謄本、収入証明書などが必要となります。また、離婚した場合は、離婚証明書も必要となります。

児童扶養手当の金額

児童扶養手当の金額は、子どもの人数や年齢、収入などによって変わります。具体的な金額は、市区町村の役所に問い合わせるか、ホームページで確認することができます。

児童扶養手当は、子育てを一人で行っている親を支援するための大切な制度です。手続きは少々複雑かもしれませんが、子どもの生活を支えるためには、ぜひ利用してみてください。

母子家庭等自立支援制度

母子家庭等自立支援制度は、母子家庭や父子家庭など、一人親家庭が自立した生活を送ることを支援するための制度です。以下に、この制度について詳しく解説します。

自立支援制度の目的

母子家庭等自立支援制度の目的は、一人親家庭が自立した生活を送ることができるように、生活の安定や職業能力の向上、子育て支援などを行うことです。この制度は、一人親家庭が経済的に困難な状況にある場合や、子育てと仕事の両立が難しい場合などに利用することができます。

自立支援制度の内容

母子家庭等自立支援制度は、生活支援、職業支援、子育て支援の3つの支援を提供します。生活支援では、生活費の補助や住宅の確保支援などを行います。職業支援では、職業訓練や就職支援、再就職支援などを提供します。子育て支援では、子育てに関する情報提供や子育て支援センターの利用などを行います。

自立支援制度の申請方法

母子家庭等自立支援制度の申請は、住んでいる市区町村の役所で行います。申請には、必要な書類を準備する必要があります。具体的には、申請書、身分証明書、収入証明書などが必要となります。また、申請の際には、自立支援計画を作成することが求められます。

母子家庭等自立支援制度は、一人親家庭が自立した生活を送るための大切な制度です。手続きは少々複雑かもしれませんが、生活の安定や子育ての支援を受けるためには、ぜひ利用してみてください。

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