高校入学費用が足らない、母子家庭が利用できる支援制度とは?

小学校、そして中学校を無事卒業すると、次は高校です。子供の将来の事を考えると、少なくとも高校までは行かせたい、と思うのが親の正直な気持ちですよね。

でもここで悩むのが、学費です。

小中学校は義務教育なので、公立に通っていればそれほど学費はかかりませんでした。しかし高校となると、公立であっても小中学校よりも確実に学費は増え、入学の時に必要になってくる費用もかさんできます。

経済的な理由で高校へ進学が困難な子供が増えていることを国も問題視し、2010年に高等学校教育の機会均等化を目的とする「高校無償化法」が制定され、授業料が無償化、つまり授業料の支払いが免除されることになりました。

これで授業料の問題はなくなりましたが、入学費用は対象になっておらず、従来と変わらず個人で負担しなくてはなりません。

高校に入学をする際には、入学金や制服代など様々な費用が必要となります。母子家庭でお金に余裕がなく、入学のための費用を準備することが難しいという場合もあるでしょう。

でもそのために高校をあきらめる、なんてことはしたくないですよね。

母子家庭世帯をはじめとするひとり親世帯には、国や自治体などが様々な支援制度を用意していることはご存じと思いますが、その中に、高校入学費用を支援してくれる制度もあることをご存じでしょうか?

その制度を利用することができれば、高校入学費用の負担をかなり軽くすることができるので、ここで詳しく紹介していきますね。

目次

高校入学費用、母子家庭ではいくら用意すればいい?

高校入学費用がどれだけかかるかは、公立高校を選ぶか私立高校を選ぶかによって大きく変わってきます。

公立高校は、授業料だけでなく高校入学費用も安いと言われますが、それでも入学金で5,550円、もしくは5,650円は必要です。(都道府県により変わります。)

これが私立高校になると入学金は一気に跳ね上がり、平均で約16万円、安いところでも10万円くらい、高いところになると30万円程必要となることは少なくありません。

さらに、入学金とは別に制服代や体操着代、教科書代、靴、カバン、通学定期など、様々な費用も必要となります。

制服、体操着には夏服と冬服があり、靴も、通学用、運動用、体育館用、上履きといった種類があるのが一般的です。教科書代も、従来の教科書だけでなく、タブレットを導入する高校が増えてきており、その代金が必要になる場合もあります。

通学定期代は入学金や制服などと違い、人によってまちまちです。遠方になるほどかさむので、自転車で行けるところまで行って電車やバスの利用区間をできるだけ少なくする、といった工夫が必要かもしれません。

またこのほかに、設備費や協力金などが必要な私立高校もあります。

全体の平均をみると、入学金、準備費用の総額は

  • 公立高校:約20万円
  • 私立高校:約50万円

となっています。

こういった費用は入学をする前に支払う必要があるため、前々から準備をしておく必要がありますが、母子家庭で経済的に苦しく十分な準備ができないときは、次で紹介する支援制度を利用することができないか検討してみましょう。

高校入学費用、母子家庭が利用できる支援制度とは?

母子家庭で高校入学費用が足らないときは、国や自治体などの公的支援を受ける、教育ローンを利用するなどの方法があります。

高校生等奨学給付金

国による支援が「高校生等奨学給付金」です。文部科学省のHPでは、高校生等奨学給付金は次のように定義されています。

【制度趣旨】
本制度は、都道府県が行う高等学校等に係る奨学のための給付金事業に対して、国がその経費の一部を補助することにより、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することを目的としています。

【制度概要】
全ての意思ある生徒が安心して教育を受けられるよう、授業料以外の教育費(※)負担を軽減するため、高校生等がいる低所得世帯を対象に支援を行う制度です。

※授業料以外の教育費とは、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等になります。

給付の対象者

生活保護を受けている家庭、もしくは住民税非課税家庭となります。母子家庭の方でこのどちらかに該当するのであれば、利用が可能です。

支給額

高校生等奨学給付金で支給される金額は、世帯の収入や家族構成、進学先などによって変わってきます。

生活保護受給世帯が受けられる支援金額は、公立高校生であれば年額32,300円、私立高校生の場合は年額52,600円です。それに対し、住民税非課税世帯は第一子が公立高校に進学する場合は年額114,100円、私立高校であれば年額134,600円の支援を受けられます。

第二子以降は公立高校で年額143,700円、私立高校で年額152,000円となります。通信制・専攻科も支給の対象で公立高校の場合の支給額は年額55,000円、私立高校の場合は年額52,100円を受け取ることが可能です。

高校生等奨学給付金で受け取れる金額は、公立高校であっても充分な費用とは言えないかもしれませんが、この給付金は返済の必要がないので、安心して高校入学費用に充てることができます。

子供が一人の母子家庭の場合、年収が約204万円以下であれば、住民税非課税世帯となります。この条件に当てはまる場合は、高校生等奨学給付金の利用を考えておきましょう。

高校生等奨学給付金は、以前から住民税非課税世帯だった母子家庭は勿論、勤務先の倒産や失業など様々な事情で家計が急変した家庭も対象となっています。子供が高校進学を迎える時に家計が苦しくなった場合にも、申請することができます。

地方自治体独自の奨学金制度

国だけでなく、地方自治体が独自で高校進学の支援をするため、奨学金制度を用意しているところもあります。

ただし、その多くが授業料の支援で、高校入学費用には使えないことがあるので、必ず自治体に確認が必要です。(入学時に授業料を半年分払う、といったケースには使えることがあります。)

地方自治体の奨学金が助かるのは、国の奨学給付金とは別に受け取ることができるので、両方を利用することが可能な点です。

高校進学に対するサポートは手厚くなってきており、去年までなかった奨学金制度が突然開始されることは珍しくありません。子供が高校進学を考える時期に入ったら、利用可能な制度が用意されていないか、確認しておくようにしましょう。

貸付金制度

住民税非課税世帯などの条件に当てはまらない、奨学金を受け取っても高校入学費用を準備しきれないという場合は、貸付金制度を利用するという方法があります。

母子家庭もしくは父子家庭で子供が20歳未満、という条件を満たしていれば、貸付を利用することができます。

母子家庭が貸付金を利用するのは、返済で余計に生活が困難になるというイメージを持つ人もいます。しかし、貸付金の中でも母子父子寡婦福祉資金の場合は、利息無しにお金を借りることができます。

また一般的な借金とは違い、借りた翌月からすぐに返済が始まるようなこともありません。返済が始まるのは、子供が学校を卒業してから6ヶ月経過した後です。

子供の就学支度資金を借りることもできるので、入学金などに困った時は母子父子寡婦福祉資金の利用がおすすめです。それ以外でも、授業料や教科書代など、就学に必要な費用に困った時にも利用できるようになっています。

国の教育ローン

どうしても高校入学費用を準備することが難しい場合は、国の教育ローンを利用するという方法も選択可能です。

国の教育ローンは、子供一人の家庭であれば世帯年収790万円以下などの条件を満たせば、母子家庭でも問題なく利用可能です。連帯保証人などを求められることになりますが、金利は年1.76%と低く設定されています。

この国の教育ローンは、授業料は勿論、入学金など高校入学費用としても使えるものです。

さらに、在学中は利子の未返済など、収入などの状況に応じて返済方法も選べるようになっています。そのため、母子家庭で高校入学費用が準備できない、支援金だけでは足りないという場合は、教育ローンの活用を考えてみることがおすすめです。

国の教育ローンは、WEBから24時間いつでも申し込みができるようになっています。

高校入学費用の支援、母子家庭ではどの制度を選ぶかは慎重に

これまで見てきましたように、母子家庭が高校入学費用の支援で利用できる制度には色々とあり、組み合わせても利用することもできます。

入学時に必要な費用は高校である程度決まってきますが、どの支援制度を利用するかは、慎重に選ぶ必要があります。

公的支援が利用できるのであれば、まず最優先に選びましょう。そしてそれで足りない時、貸付などを利用するようにしますが、本当に貸付まで必要なのか、頑張れば自分で用意できないか、考えてみましょう。

貸付は必ず返済があります。利子が低いからといって安易に借りてしまうと、その先、返済に苦しむリスクがあるからです。

借りるとしても必要最低限にする、これだけは絶対に守りましょう。

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