国の教育ローン、母子家庭を支援してくれる優遇制度とは?

母子家庭になった時、様々な問題が一気に押し寄せて来ます。

住む場所はどうする?、生活費は足りる?、仕事は?、子供の学校は?など、それまで考えたこともなかった心配が母子家庭になると一度に全部降りかかってきて、不安にかられてしまいますよね。

住まいは賃貸であれば家賃が必要になり、生活費は食費や光熱費などが毎月かかりますが、おおよそいくら必要になるか、ある程度はわかるので構えることはできます。

その一方で予想しにくいのが、子供にかかるお金でしょう。

中でも学費は進学するにつれて大きな額になる事は予測できても、実際のところ、どれくらいの金額になるか分かりにくく、不安を抱きやすい原因になります。

でもよく分からない事に対する不安は、知る事で払拭されますよね。そこでここでは実際に必要になる学費はいくらくらいになるのか、母子家庭ではいくら用意しておけばいいか、順番に解説していきます。

また合わせて、母子家庭が利用可能な支援制度である国の教育ローンについての情報をお伝えします。

目次

子供の学費、母子家庭ではいくら用意しておけばいい?

母子家庭では学費について一番心配になるのは、「結局いくら用意すればいいのか」という事でしょう。

小学校、中学校は義務教育なので公立にすればそれほど学費はかかりませんが、高校、大学ともなれば、学校によってはかなりの費用がかかりますよね。

そこでまず最初に意識しておきたいのは、学費は一度に支払うものではない、ということです。総額は大きく見えますが、毎月の支払を家計に組み入れた時それで生活していくことができるのか、母子家庭の場合、問題はそこでしょう。

幼稚園から大学まで、順にかかる費用についてみていきます。

幼稚園・保育園・認定こども園

最初にかかる学費は幼稚園や保育園です。以前は費用がかかりましたが、2019年10月に「幼児教育・保育の無償化」が始まりました。

これにより、3~5歳の全ての子供について、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育の基本的な利用料は無料になりました。従って、幼稚園などを基本的な範囲で利用した場合にかかる費用は、通院や送迎費、お弁当代・行事費などです。

地域によっては待機児童などの問題はありますが、この無償化は多くの母子家庭の助けになっています。

小学校・中学校

義務教育である小中学校では、公立なら授業料は必要ありません。

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によると、学習費総額の平均は、

  • 公立小学校:月額26,773円
  • 私立小学校:月額133,224円
  • 公立中学校:月額40,699円
  • 私立中学校:月額117,202円

となっています。これは給食費や教材費、ランドセル、修学旅行の積立の他、学校外の習い事や塾まで含めた金額です。

公立は学校や地域によってそれほど大きな違いはありませんが、私立は学校による差が大きく、これより学費がかかる学校も沢山あります。

最近は、将来の大学進学を考えて私立の中学を目指す家庭も増えてきています。母子家庭で私立の中学を考えているのであれば、公立との差額をしっかり把握してきましょう。

高校(全日制)

高校は義務教育でなくなることから、公立であっても授業料が必要になります。母子家庭でも経済的に苦しいところになると、高校進学をあきらめざるをえないケースも出てきます。

  • 公立高校:月額38,115円
  • 私立高校:月額80,825円

高校も、私立になるとかなり幅があります。

小中高校通算

  • 公立学校:月額33,090円
  • 私立学校:月額116,119円

この金額を12年間、「学費」口座に毎月積み立てていけるなら心配はない、ということになります。

12年間の総額はかなりの金額になりますが、こうして月額で見ると、ずっと公立の学校で行くなら母子家庭の方でもなんとかなりそうな感じがするのではないでしょうか。

私立の学費は公立の3倍以上なので、母子家庭でも相応の収入がないと実際には難しいでしょう。

国の教育ローンは母子家庭でも利用できる支援制度

大学の費用はなかなか予想は難しいものがあります。それは、かかるのが学費だけではなく、交通費や、自宅を離れる場合、独り暮らしのための費用も必要になってくるからです。

どこに住むかで家賃は大きく変わり、遠ければ遠いほど交通費もかかるでしょう。学費もどの学部を選ぶかによって追加の出費も増えるので、毎月の出費の予想は簡単ではないですよね。

そんな状況を踏まえ、現在、公的、民間含め、大学の学費負担を軽減してくれる様々な支援制度が用意されています。そしてその中には母子家庭を対象としたものもあります。

その多くは利用に際して条件があり、必ずしも母子家庭全員が利用できる訳ではありませんが、用意されている支援制度の中でも誰もが平等に利用しやすいのは、国の教育ローンです。

国の教育ローン、初めて耳にする母子家庭の方もいると思います。

この制度は、昭和54年(1979年)、進学に関する家庭の経済的負担の軽減と教育の機会均等を図るため、入学費用を融資する「国の進学ローン」として取扱いが始まり、平成3年(1991年)に在学中の費用も融資の対象に追加されて「国の教育ローン」とされました。(ホームページ「政府広報オンライン」より抜粋)

家計の教育費の負担を軽減し、こどもたちの進学・在学を応援するために設けられているのが、この「国の教育ローン」なのです。

国の教育ローン、母子家庭の利用条件は?

国の教育ローンを利用するためには決められた条件にあてはまる必要があり、次のようにきめられています。(ホームページ「政府広報オンライン」より抜粋)

国の教育ローンが利用できるのは、融資の対象となる学校に入学・在学する生徒・学生の保護者(主に生計を維持している方)で、給与所得者の場合は世帯年収が、また事業主の方は世帯所得が下表に当てはまる方になります。この世帯年収・世帯所得には、配偶者などの年収(所得)も含まれます。

扶養するこどもの人数世帯年収(給与所得の方)世帯所得(事業所得の方)
1人790万円以内600万円以内
2人890万円以内690万円以内
3人990万円以内790万円以内

母子家庭で上表の収入より少ないのであれが、国の教育ローンを利用することができます。

国の教育ローン、母子家庭のための優遇制度とは?

国の教育ローン貸付金額

国の教育ローンは日本政策金融公庫が運営し、大学の学費を目的とした教育一般貸付で、子供1人当たり350万円(自宅外通学、修業年限5年以上の大学、大学院、海外留学の場合は450万円)まで借りることができます。

また、国の教育ローンは日本学生支援機構の奨学金と併用可能で、様々な学校が対象になっており、受験費用など幅広い用途にも対応しています。

国の教育ローン金利

金利は通常、固定年利1.80%、最長15年の返済期間ですが、国の教育ローンには母子家庭(ひとり親家庭)を対象にした優遇制度があり、固定年利1.40%、返済期間最長18年と有利に利用できるようになっています。

母子家庭で連帯保証人が用意出来ないという方は保証基金による保証が利用できますが、こちらの保証料も国の教育ローンの場合は優遇制度で半額になるので、とても助かりますよね。

在学中は元金据置で利息のみ返済していくことも可能なので、将来の返済の負担をやわらげることもできます。

国の教育ローン利用手続き

また「国の教育ローン」と聞くと、手続きはお役所仕事で時間がかかる、書類を作ったりで面倒、と思われるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。

利用手続きは来店不要で郵送や24時間インターネット申し込みが可能、操作がわからない場合はチャットによるサポートもあるので、母子家庭で役所に行く時間がない、こういうことには慣れなれなくて、という方でも、国の教育ローンに安心して申し込むことができるようになっています。

また日本政策金融公庫のホームページでは、国の教育ローンを利用した場合の毎月の返済額、返済総額等をシミュレーションできるので、申し込む前に確認しておきましょう。

国の教育ローンで母子家庭の学費を軽減

一番学費のかかる大学は、母子家庭に優遇制度のある国の教育ローンを利用することで、かなり負担をやわらげることができます。

教育の機会は、子供の人生の不安を晴らす事にもつながりますよね。

母子家庭であっても子供の人生を明るく豊かなものにしたいですよね。そのためにも、そして自分自身にも無理がないように、今回紹介した国の教育ローンのような支援制度を上手く活用していきましょう。

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