中学生や高校生が部活を始めると、想像以上に大変なのが試合や遠征の送迎です。
普段は学校で活動していても、土日の練習試合は別の学校、大会は遠方の体育館、集合時間は朝7時など、保護者の車が必要になる場面があります。
しかし、仕事がある家庭では毎回送迎できるとは限りません。
特にシングルマザー家庭では、もう一人の保護者と交代できず、「送迎できないなら部活を辞めさせるしかない?」と悩むこともあるでしょう。
結論からいうと、親が毎回自家用車で送迎することだけが部活を続ける方法ではありません。まず学校やクラブの移動ルールを確認し、公共交通機関、学校側の移動手段、保護者間の協力、本人の自力移動など、利用できる方法を整理することが大切です。
部活の送迎ができないとき、最初に確認すること
送迎の話が出たときに、すぐ「自分が車を出さなければ」と考える必要はありません。
まず顧問やクラブ担当者へ、次の点を確認しましょう。
- 現地集合・現地解散なのか
- 学校からまとまって移動するのか
- 貸切バスや公共交通機関を利用するのか
- 保護者送迎が必須なのか
- 送迎できない家庭への対応があるか
- 乗り合わせを学校側が認めているか
- 生徒だけで公共交通機関を利用してよいか
同じ学校でも、部活によって移動方法は違います。
「みんな親が送っているように見える」という理由だけで、自家用車送迎が必須だと思い込まないようにしましょう。
「送迎できません」と顧問へ相談していい
仕事でどうしても送れないなら、早めに顧問へ事情を伝えましょう。
詳しい家庭事情まで説明する必要はありません。
仕事のため土曜日の朝は送迎できない日があります。送迎できない家庭は、どのような方法で参加していますか。
このように、「できない」と伝えるだけでなく、代替手段を確認する形にすると相談しやすくなります。
勤務日が決まっている場合は、「第2・第4土曜日は送迎できない」のように具体的に伝えてもよいでしょう。
部活の送迎は毎回保護者がするもの?
部活動の移動方法は、学校、競技、地域によって大きく異なります。
大会会場へ公共交通機関で集合する部活もあれば、学校からバスで移動する部活、各家庭が現地まで送る部活もあります。
また、部活動の地域展開が進んでいるため、学校部活動ではなく地域クラブとして活動する地域も増えています。
スポーツ庁は、2026年度から新たな「改革実行期間」を始め、学校部活動の改革と地域クラブ活動の整備を進めています。活動場所や運営主体が変われば、送迎方法も地域やクラブによって異なります。
参考:スポーツ庁「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」
そのため、以前の学校のやり方や上の子のときの経験だけで判断せず、現在のルールを確認してください。
公共交通機関で行けないか確認する
大会会場や練習試合の場所が駅やバス停から近いなら、生徒同士で公共交通機関を利用できる場合があります。
- 電車
- 路線バス
- 学校最寄り駅からの徒歩
- 複数の生徒でまとまって移動
ただし、学校や部活側で移動方法が指定されている場合は、そのルールに従います。
スポーツ庁・文部科学省も、遠征や遠距離会場への移動では、地域の実情を踏まえつつ、バスだけでなく利用可能な公共交通機関を含めて移動手段を検討するよう示しています。
子どもだけで現地へ行かせてもいい?
中学生や高校生なら、場所によっては本人だけで会場へ行けることもあります。
ただし、「もう中学生だから大丈夫」と年齢だけで決めず、実際の移動条件を確認しましょう。
- 乗り換えが複雑ではないか
- 朝早すぎたり夜遅すぎたりしないか
- 駅から会場まで安全に歩けるか
- 大きな荷物を持って移動できるか
- 一緒に行ける部員がいるか
- 迷ったとき親や顧問へ連絡できるか
初めて行く会場なら、事前に地図を確認したり、一度親子で行ってみたりする方法もあります。
行きだけ送る・帰りだけ迎える
往復とも送迎するのが難しいなら、片道だけ担当する方法があります。
たとえば朝は出勤前に送れるけれど、大会終了時刻には迎えに行けない場合、行きだけ親が送り、帰りは電車やバスを使う方法があります。
反対に、朝は仕事で送れないけれど、夕方なら迎えに行ける家庭もあります。
送迎を「往復セット」と考えず、行きと帰りを分けて考えると選択肢が増えます。
保護者同士の乗り合わせはルールを確認する
部活によっては、保護者同士で乗り合わせて試合会場へ行くことがあります。
自分が送迎できない日に、ほかの保護者から「一緒に乗せていくよ」と声をかけてもらえる場合もあるでしょう。
ただし、学校やクラブによっては、安全管理や事故時の対応などの理由から、保護者同士の乗り合わせに独自のルールを設けていることがあります。
勝手に家庭同士だけで決めず、必要に応じて顧問やクラブ担当者へ確認してください。
乗せてもらうときは「毎回当然」にしない
仕事で送迎できない日が多いと、同じ家庭へ何度もお願いすることになる場合があります。
相手が快く引き受けてくれていても、時間、ガソリン代、車内の人数など負担はあります。
可能であれば、
- 自分が送れる日は別の子を乗せる
- 行きと帰りを分担する
- 毎回同じ家庭に頼まない
- お礼の方法を家庭同士で考える
など、一方だけに負担が偏らない形を考えましょう。
送迎当番がある部活なら最初に頻度を確認する
入部してから「月に2回送迎当番があります」と分かり、仕事との両立に困ることがあります。
これから部活を選ぶ場合は、活動内容だけでなく保護者の負担も確認しておくと安心です。
- 送迎当番はあるか
- 年間何回程度か
- 土日活動は月何回か
- 遠征は多いか
- 保護者の付き添いが必要か
- 車を出せない家庭への代替方法があるか
入部説明会で聞きにくい場合でも、後から負担が分かるより先に確認した方が家庭の予定を立てやすくなります。
「車を出せません」と伝えることは悪いことではない
車を持っていない、運転できない、仕事で時間が合わないなど、家庭によって事情は違います。
無理をして車を用意したり、毎回仕事を休んだりしなければ参加できない状態なら、早めに相談する方が現実的です。
仕事の都合で送迎当番として車を出すことができません。車を出せない家庭は、別の形で協力できる方法がありますか。
送迎以外に、連絡、会計、荷物準備など別の協力方法がある場合もあります。
送迎できないことで子どもが試合に出られないと言われたら
「保護者が送れないなら参加できません」と言われた場合は、まずその理由と学校・クラブのルールを確認しましょう。
会場への移動方法が保護者送迎に限定されているのか、安全管理上の理由があるのかによって対応は変わります。
公共交通機関や別の集合方法が使えないか、顧問・学校・地域クラブの担当者へ相談してみましょう。
学校部活動と地域クラブ活動では運営主体が異なることもあるため、誰が移動ルールを決めているのかも確認することが大切です。
仕事を毎回休んで送迎する前に考えたいこと
子どものためなら何とかしたいと思い、試合のたびに仕事を休む家庭もあります。
しかし、年間の大会や練習試合が多い部活では、毎回休暇を使う方法が長く続かないことがあります。
- 年間で何日送迎が必要か
- 有給休暇を何日使うことになるか
- 子どもの病気や学校行事にも休暇が必要ではないか
- 給与や勤務評価への影響はないか
- 繁忙期にも休めるか
年間予定を見て、「全部自分が送る」のではなく、送れる日と送れない日を最初から分けた方が負担を管理しやすくなります。
朝早い集合に間に合わない場合
大会では朝6時台や7時台に集合することがあります。
仕事の開始時間と重なる、下の子を一人にできないなど、朝の送迎が難しい家庭もあるでしょう。
その場合は、
- 最寄り駅から部員と一緒に行く
- 学校からのバスに乗れるか確認する
- 行きだけ乗り合わせを相談する
- 前日に顧問へ相談する
など、朝だけ別の方法を作れないか考えます。
終了時間が読めず迎えに行けない場合
試合は終了時間が予定どおりにならないことがあります。
「15時終了予定だから迎えに行く」と考えていても、試合進行で1時間以上ずれることもあります。
仕事や下の子の予定がある家庭では、終了時刻が読めないこと自体が負担です。
終了後に子ども自身が公共交通機関で帰れるか、学校へ戻って解散できるかなど、迎え時間に左右されにくい方法を確認してみましょう。
下の子がいる家庭は送迎への同行も負担になる
部活をしている子どもだけでなく、小さなきょうだいがいる家庭では、送迎のたびに下の子も車へ乗せなければならないことがあります。
早朝、長距離、長時間の待機が続くと、下の子の負担も大きくなります。
「車を出せるか」だけでなく、家族全体が無理なく対応できるかで判断しましょう。
遠征が多い部活は交通費も確認する
送迎ができない場合、電車、バス、貸切バスなどを利用できても交通費がかかることがあります。
入部前や年度初めに、
- 年間の遠征回数
- 交通費
- 大会参加費
- 貸切バス代
- 宿泊を伴う遠征の有無
などを確認しておくと、家計への影響も把握しやすくなります。
文部科学省は、遠征等を実施する場合、移動方法や保護者に負担を求める費用について事前に保護者へ連絡するよう求めています。
地域クラブへ移行したら送迎はどうなる?
部活動の地域展開によって、休日活動などが学校外の地域クラブになる地域があります。
活動場所が学校ではなく、地域の体育館やスポーツ施設になると、これまでより移動が必要になるケースもあります。
一方で、地域によっては複数校の生徒が集まることを前提に、公共交通や送迎方法を含めた運営が検討されている場合もあります。
スポーツ庁は2026年3月、地域クラブ活動の創設・運営に関するガイドブックを公表しています。
学校部活動から地域クラブへ変わる場合は、活動場所、集合方法、送迎の扱いを改めて確認しましょう。
送迎負担が大きすぎるなら部活の続け方を相談する
どの方法を使っても毎週何時間も送迎が必要で、仕事や家計に大きな影響が出る場合があります。
その場合は、子どもと一緒に「この部活をどう続けたいか」を考えましょう。
- すべての練習試合へ参加する必要があるか
- 送迎できない日は欠席できるか
- 別の活動場所はないか
- 地域クラブなど別の選択肢はないか
- 本人はどの程度続けたいと思っているか
親が限界まで無理をしないと続かない形では、数年間継続するのが難しくなります。
送迎できない日に欠席するのはあり?
練習や練習試合を送迎の都合で休めるかどうかは、学校やチームによって違います。
大会など参加が重要な日もあるため、家庭だけで判断せず顧問へ相談してください。
一方、「すべての活動へ親が送迎できなければならない」という状態が家庭にとって難しいなら、その点を入部時や早い段階で伝えておくことが大切です。
シングルマザーは送迎を一人で全部背負わなくていい
シングルマザー家庭では、「自分が送らなければ子どもが参加できない」と考え、無理な勤務調整を続けてしまうことがあります。
しかし、部活は数年間続く可能性があります。
毎週仕事を休む、長距離運転をする、下の子まで早朝から連れ回す状態が続けば、家庭全体の負担が大きくなります。
学校、公共交通、本人の自力移動、周囲との協力などを使い、「母親が毎回運転しなくても参加できる形」を最初から探してみましょう。
部活の送迎ができない家庭のチェックリスト
- □ 保護者送迎が本当に必須か確認した
- □ 学校からバスなどで移動できないか確認した
- □ 公共交通機関を利用できるか確認した
- □ 子どもだけで移動できる経路か確認した
- □ 行きだけ・帰りだけ送迎する方法を考えた
- □ 保護者同士の乗り合わせルールを確認した
- □ 送迎当番の年間回数を確認した
- □ 遠征の交通費を確認した
- □ 地域クラブの場合は活動場所と移動方法を確認した
- □ 仕事を休まず続けられる方法か考えた
- □ 子ども本人と部活の続け方を話した
部活の送迎ができないなら「毎回親が車を出す前提」を外して考える
部活の送迎ができないからといって、すぐに部活を諦める必要はありません。
まず、学校やクラブへ移動方法を確認し、公共交通機関、学校からのバス、本人の自力移動、片道だけの送迎、保護者間の協力などが使えないか考えてみましょう。
大切なのは「親が毎回送れるか」ではなく、「家庭が無理をせず、安全に活動へ参加できる方法があるか」です。
送迎方法や保護者負担は学校・地域クラブごとに異なるため、分からないまま一人で悩まず、顧問や運営担当者へ早めに相談してください。
仕事、家計、きょうだいの予定も含めて数年間続けられる形を作ることが、子どもが安心して部活を続けるためにも重要です。
