市営住宅で母子家庭が利用できる家賃の減免とは?

母子家庭の方で賃貸住宅に住まわれている方は多いと思いますが、どういう賃貸にお住まいでしょうか?

賃貸にも色々とありますよね。テレビのコマーシャルでよく見るような不動産会社が扱っている賃貸住宅、県営住宅や市営住宅などの公営住宅、昔ながらの長屋、そしてなかなか手が出ないですが、マンションや戸建てなどもありますよね。

この中でも比較的見つけやすいのが、不動産会社が扱っている賃貸住宅でしょうか。場所は駅近から郊外、交通公共機関の沿線など、中古から新築まで、部屋の広さもワンルームから始まって、2DK、3LDKなど、自分の条件を絞っていっても物件が見つかりやすい、というのが一番のメリットと思います。

ただしその分、家賃はどうしても高めで、入居に際して色々な手数料もかかり、母子家庭などのひとり親家庭を支援するような減免も、あまり見かけません。

それに対して公営住宅は、都道府県や市などいわゆる公的な機関が所有・管理しています。これは母子家庭や生活保護の受給者などの経済的に苦しい家庭を支援するため、低家賃で住居を提供することを目的にしているからで、主にその地域の税金をもって運営されています。

なんと言っても家賃が安いのが公営住宅の一番のメリットですが、住宅の数が限られていることから満室のことが多く、好きな時に入居ができない、空きがでても抽選になるので入れるとは限らない、といったデメリットは小さくないですよね。

また、築年数がかなり経っている住宅があったり、間取りや部屋の大きさを自分で選べない、入る前に部屋を確認できないのも、場合によってはネックになるかもしれません。

ただ公営住宅の中には、母子家庭をはじめとするひとり親家庭の方のための家賃の減免制度を実施しているところもあり、そうなると、ますます家賃を安くすることができるので、その分、生活費に回すことができます。

公営住宅には、県が運営する県営住宅(府の売は府営住宅、都の場合は都営住宅)、市が運営する市営住宅が代表的な住宅で、両方とも母子家庭などへの家賃の減免を実施しているところがあります。

ここでは市営住宅の母子家庭のための家賃の減免について、色々と調べてみました。

目次

市営住宅で母子家庭が利用できる家賃の減免、対象は?

市営住宅は市が運営する住宅、確かにこの理解で合ってますが、「市営住宅」と一口に言っても実は公営住宅法で次の5種類に分かれていて、それぞれ入居できる条件や家賃などが違います。

  • 公営住宅
  • 改良住宅
  • 再開発住宅
  • 特定賃貸住宅
  • 特別賃貸住宅

このうち、公営住宅、改良住宅は主に低所得者用、再開発住宅、特定賃貸住宅、特別賃貸住宅は中堅所得層向け住宅、というように分類されています。

公営住宅

いわゆる一般の市営住宅で、残りの4種類以外の住宅です。

改良住宅

大きな地震があると多くの被害がありそう、火災の危険がある、火事が起きても消防車が近くまで行けない、生活インフラが整備されていないなど、安心して生活ができない地域を国土交通大臣が改良地区に指定して、安心して住めるように整備した住宅のことです。

もともとその地域に住んでいた人が、整備した後は住まなくなった住居を、地方自治体が公営住宅法に基づく公営住宅とみなして、低所得者用住居として提供してくれています。

改良住宅の中には、あまりにも古くなったので立て替えされた住宅もあって、家賃も基本、変わらないことから、人気が高い住宅です。

再開発住宅

市街地再開発事業の施行のために、市が建設、あるいは購入した賃貸住宅です。

再開発という言葉は耳にしたことがあると思いますが、地域の活性化のために町を整備する一環として、新しく住居を作るか買うかして賃貸住宅にしたのが再開発住宅、というわけです。

きれいで新しい街並みの中で生活できますが、中堅所得層向けということで、ある程度の所得がないと入居の条件に届かないので、母子家庭の方にはちょっと難しいかもしれません。

特定賃貸住宅

家賃の一部を国と県が補助することにより、家賃負担を軽減する賃貸住宅です。借りる条件として、所得の下限と上限があり、その範囲内である必要があります。

特別賃貸住宅

県が国からの補助を受けて建設し、管理開始後しばらくの間は国の補助を受けることで、家賃を助成してくれる住宅です。

特定賃貸住宅と同じように借りられる条件として所得の範囲があり、家賃の助成期間には限りがあります。

家賃や所得の条件のことを考えると、母子家庭で所得のそれほど多くない方には、公営住宅か改良住宅をターゲットにするのが賢い選択になりそうです。

市営住宅で母子家庭が利用できる家賃の減免、入居条件は?

市営住宅には5種類ありますが、入居の条件はどの住宅でもほとんど同じです。

  1. 申し込み時点で住宅に困窮していること
  2. 同居している親族がいること、あるいは同居しようとしてい親族がいること
  3. 申し込み時点で、市営住宅のある市町村に住んでいる、あるいは通勤していること
  4. 世帯の総所得が、決められた基準額内にあること
  5. 市町村税を滞納せず、きちんと収めていること
  6. 申し込む人、あるいはその同居人が反社会の関係者ではないこと

1. 申し込み時点で住宅に困窮していること

住宅に困窮、という表現がちょっとわかりにくいですよね。所得が少なくて家賃が払えない、というのがこの条件の一般的な理解と考えられます。

今現在、公営住宅に住んでいたり、持ち家がある人は、「住宅に困窮」している人とはみなされないので、条件からはずれることになります。これは母子家庭であっても同じです。

2. 同居している親族がいること、あるいは同居しようとしてい親族がいること

母子家庭の場合、子供が母親と同居しているのであれば、問題ありません。

3. 申し込み時点で、市営住宅のある市町村に住んでいる、あるいは通勤していること

市営住宅は、その市町村に住んでいる人が払う税金で運営していることから、このような条件が付帯されています。5. 市町村税を滞納せず、きちんと収めていること、も同じ理由です。

4. 世帯の総所得が、決められた基準額内にあること

ここが、先にあげた5種類の市営住宅の条件で変わるところです。

たとえば公営住宅、改良住宅では、世帯所得は月額158,000円以下などを条件としていて、母子家庭の方の多くがあてはまるかもしれません。所得特定賃貸住宅では、月の世帯所得は153,000円から601,000円までの間、再開発住宅では、月の世帯収入が137,000円以上、といった具合です。

市町村が運営していることから、所得額についてはそれぞれで決めているため、ちゃんとした数字は市町村に確認する必要があります。

  1. は、特に説明はいらないですよね。安心して暮らすために、どの市営住宅もこの条件はあります。

市営住宅で母子家庭が利用できる家賃の減免、所得で家賃は変わる?

市営住宅の大きな特徴としてしは、家賃は誰もが同じというのではなく、世帯の所得によって変わることがあります。低所得者が借りられるように、というのが市営住宅の目的ですから、この家賃の決め方は理にかなっていますよね。所得の少ない母子家庭に適しているのは、この点に尽きます。

家賃の金額は基本、下記の計算式で算出されます。所得の低い世帯ほど家賃は下がるようになっています。

家賃 = 家賃算定基礎額 x 住宅係数

家賃算定基礎額:月の世帯所得に応じた家賃基本額で、8区分に分かれています。

住宅係数:入居する住宅の建築年数や広さ、設備などからきまってくる係数で、以下の係数で算出されます。

・立地係数
公示価格等を参考に、国土交通大臣が市町村ごとに定めている係数

・規模係数
住戸専有面積を65平方メートルで割った数値

・経過年数係数
新築を1.0とし、建築されてからの経過年数により構造別・地域別に、毎年一定の割合で逓減させた数値

・利便性係数
風呂の有無、エレベータの有無などの利便性について、0.5~1.3までの間で定める数値で、事業者の判断で決められます。

市営住宅で母子家庭が利用できる家賃の減免、入居にかかる費用とは?

賃貸住宅に入居するとき、家賃以外にも色々な費用がかかりますよね。代表的なのは、礼金、敷金、仲介手数料などでしょう。特に不動産会社の提供する賃貸住宅を借りる場合、不動産会社の言う費用を「この費用はどうして必要?」「何のため?」と思っても、払わざるを得えません。

その点、市営住宅の場合は、必要な費用ははっきりしています。

  • 敷金
  • 共益費

基本的に、この2種類です。礼金や仲介手数料、更新料はいりません。礼金や仲介手数料は、不動産会社の場合は結構とられるので、それを払わなくて済むのは母子家庭にとっても大助かりです。

敷金は、たいていは家賃の3ケ月分、共益費は数千円くらいです。

市営住宅で母子家庭が利用できる家賃の減免額は?

市営住宅は、不動産会社などが運営する賃貸住宅に比べ、家賃は低く抑えられていますが、その中でも、特に母子家庭などのひとり親家庭の支援のため、家賃を減免してくれる制度を実施している市町村があります。

それぞれの市町村の考え方や取り組みの違いから、全ての市営住宅にそのような制度があるわけではありませんが、自分の住む地域の市営住宅に家賃の減免がれば、是非とも利用したいですよね。

例として、いくつかの市で実施している母子家庭のための家賃の減免制度を紹介します。要件は、先に述べた6つの条件に当てはまることを前提として、母子家庭に限定したものとなっています。また必要書類は、申請書のほかに提出が必要な書類です。

愛知県岡崎市

・要件
配偶者のない者と 20 歳未満の扶養親族のみで構成される世帯

・減免額
10%

・必要書類
児童扶養手当証書、母子家庭等医療費受給者証

新潟県新潟市

・要件
20歳未満の子を扶養する母子家庭

・減免額
家賃12,500円~25,300円

・必要書類
児童扶養手当証書またはひとり親家庭等医療費助成受給者証

調べてみると、市営住宅で母子家庭のために家賃を減免、と明確にしているところは多くはありませんでした。しかしながら、所得がとても少ない、あるいは何らかの事情で少なくなってしまった、という場合には家賃を減額します、と言っている市営住宅は結構な数ありますので、母子家庭に限定せず、所得が少ない世帯を支援する制度が設けられています。

また、市営住宅は希望すれば誰でもすぐに入居できるわけではなく、抽選に応募して当選しないと入居することはできません。そこで市町村の中には、母子家庭世帯を優先する制度を実施しているところもあり、母子家庭世帯が当選しやすくなっています。

市営住宅で母子家庭が利用できる家賃の減免、注意点は?

家賃が安いことが市営住宅を選ぶ一番の理由と思いますが、注意しなくてはいけないことがいくつかあります。

抽選に当選しないと入居できない

繰り返しになりますが、市営住宅は基本、抽選です。しかもたいていは満室なので、空きが出るまで待たなくてはいけません。なら、空きが出るまで普通の賃貸に、というのは、入居の条件の「住宅に困窮している」に該当せず、と見られてしまう可能性があり、簡単ではないですね。

母子家庭にとっては大変ですが、空きがでるまで今の生活を頑張って続けるしかない、というのが現状です。

事前に部屋の確認ができない

空きがでて抽選に申し込みする時点で、どのような部屋か、確認することはできません。1LDK、2LDKといった部屋数はわかりますが、間取りや部屋の大きさまではわからないのです。

確認できるのは当選してからですが、部屋を見て、これでは…と思っても、別の部屋に変えたりすることはできません。抽選は仕方がないとしても、例えば母子家庭限定で、最低限、間取りが事前にわかるようになれば、と思います。

毎年、所得の申告が必要

市営住宅の入居の条件に所得があり、申し込み時に所得額を申告します。所得額が入居を決める判断になるため、毎年、所得額を申告する必要があります。そしてもし所得額が条件に合わなくなったときは、退去を求められます。

ペットは禁止

市営住宅は集合住宅であり、住宅の構造上、動物の飼育には適しているとは言えません。犬や猫などのペットを住宅内で飼うことは近所迷惑で、入居者間のトラブルの原因になることから、ペットを飼うことは禁止としている市営住宅がほとんどです。

市営住宅は、家賃が安く、しかも所得が少ないほど安くしてくれるので、経済的に苦しい人にとっては大変助かります。しかしその反面、入居するための条件は厳しめで、空きが少なく、抽選になるなど、誰でも簡単に、というわけにはいきませんが、母子家庭で賃貸住宅を探しているのなら、候補の一つにあげておいてもいいのではないでしょうか。

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