母子家庭の医療費が無料になる制度とは?いつまで利用できる?

どの家庭でも必ず必要になるのが医療費です。ずっと健康で怪我もなく過ごすことができれば医療費を払うことはありませんが、実際にはそうはいかないでしょう。

風邪をひいたり腹痛になったら内科、怪我をしてしまったら外科、虫歯の治療で歯医者といったように、医療費を払わなくてはいけない機会は沢山あります。

子供がいる家庭なら、子供の病気や怪我で病院に行くことも少なくないでしょう。

社会保険や健康保険に加入していれば、基本は医療費はかかった費用の3割負担(子供の場合は年齢によって無料、1割負担のところもあります)ですが、それでも回数が増えれば大きな負担です。

病院に行くのが1回で済めばいいのですが、継続してしばらくの間通院することになれば、医療費はどんどん膨らんでいきます。

一般の家庭でも医療費は結構な負担になりますが、母子家庭で収入がそれほど多くない場合は、医療費が払えないので病院に行かない、という方も出てきます。

そういった家庭を支援するための助成制度があります。その助成制度を利用することができれば、医療費は実質無料かそれに近くなります。

ただこの助成制度、ずっと利用できるというわけでありません。そのため、いつまで利用できるのか、知っておく必要があります。

ここではその助成制度について、母子家庭が利用するための条件や手順、医療費無料いつまで利用できるかなどを詳しく解説していきます。

目次

母子家庭の医療費が無料になる制度とは?

母子家庭の医療費が無料になる制度はひとり親家庭等医療費助成制度と呼ばれ、名前が示すように、母子家庭をはじめとするひとり親家庭を対象にしています。

母子家庭、父子家庭などのひとり親やその子供、両親がいない子供を養育している人が医療施設を利用した際にかかる、医療費の自己負担分を市区町村が助成してくれる制度です。

まずこの制度について、詳しく見ていきます。

助成の対象者

  • ひとり親家庭の親とその児童
  • 両親のいない児童
  • 両親のいない児童の養育者

上記に加えて所得制限があり、決められた所得以下であることが条件になっています。また所得制限の金額については市区町村ごとに設定しているので、確認が必要です。

所得制限については、給与所得控除や社会保険料を引いた額のことを言います。

市区町村によっては子供と暮らしている親の収入だけではなく、一緒に暮らしていない親から貰っている養育費も所得として計算することもあります。

これは、ある市区町村の所得制限額です。

扶養人数所得制限額収入目安額
1人230万円未満365万円未満
2人 268万円未満412万5千円未満
3人306万円未満460万円未満
4人以上1人増えるごとに扶養人数3人の金額に38万円を加算した額

医療費助成制度の利用を検討していて、現在養育費を受け取っている方は、お住まいの地域の市区町村がどんな条件を設けているのか、事前に確認しておきましょう。

助成の対象にならないケース

助成の対象者には該当していも利用できないケースもあります。

生活保護を受けている

生活保護で受けられる支援に医療扶助があります。医療扶助では医療費は実質無料になるからです。

健康保険に加入していない

ひとり親家庭等医療費助成制度は、健康保険を使っても自己負担になる費用を助成する制度なので、健康保険に入っていることが大前提です。

年齢に関係なくお子さんが児童福祉施設などに入所している

児童福祉施設に入所している児童の医療費は、公費負担されることになっています。

所得制限を上回っている

申請したときは所得が少なくて条件に該当していたが、給与があがって所得が増え、支給の条件を超えると利用できなくなります。

ひとり親家庭等医療費助成制度は自動で更新されることはなく、毎年申請が必要です。そしていつまでに申請を、といった通知もありません。

提出する書類は初回と同じで住民税課税証明書も提出するので、所得が増えていればわかってしまい、制限を上回っていれば申請は受けつけられません。

市区町村を転出した

ひとり親家庭等医療費助成制度は市区町村が運用しているので、市区町村が変われば利用できなくなります。

ただし、転出した市区町村であらためて申請すれば、同じように助成を利用することができます。その場合は、利用できる条件を必ず確認しましょう。

再婚または同棲などによる事実婚をした

この制度の対象者は「ひとり親」のため、そうでなくなったら利用はできません。

助成の対象になる医療費

医療費なら何でも助成の対象になるわけではありません。基本的には医療保険が適用される医療費に限定されています。

対象になる医療費

  • 身体の不調に関する診療費
  • 処方された薬代
  • 処置や手術などの治療費
  • 治療材料の費用

入院も対象にはなるのですが、月額の上限が決まっているケースがほとんどです。また、差額ベッド代については全額自己負担となります。

対象にならない医療費

  • 医療保険の対象にならない医療行為の費用(美容整形/マッサージ/健康診断/予防接種など、受けなくても日常生活に支障のないもの)
  • 学校の管理下で怪我をして災害救済給付金制度の対象になる医療費(給付金から支払って負担し、足りない分は自己負担)
  • 高額医療費や附加給付に当たる医療費

ちなみに他の制度と二重に助成を受けることはできません。なにかの手違い等で二重に助成手続きが行えた場合、それは不正受給とみなされるので注意が必要です。

母子家庭の医療費が無料になる制度、利用までの手続きは?

ひとり親家庭等医療費助成制度は、それぞれの市区町村の規定に沿った方法で申請を行います。特にいつまでにといった期限はなく、大まかな流れはどの市区町村も同じなので、今後の参考にしていただけたらと思います。

ひとり親家庭医療医療証を発行してもらう

まず、ひとり親家庭等医療費助成制度の利用者であることを証明してくれる、「ひとり親家庭医療医療証」を発行してもらいます。

申請は、各市区町村の窓口に出向いて行います。(担当窓口や担当課の名前は市区町村で異なるので、お住いの市区町村に問い合わせ下さい。)

ひとり親家庭等医療証交付申請書に必要事項を記入し、以下の書類を添えて窓口に提出します。発行までに数週間から一か月ほどかかることがあります。郵送で送られてくることもあり、日数はある程度見ておきましょう。

急ぐときは、申請時にいつまでに必要か、一応要望を出してみましょう。必ずその通りになるという保証はありませんが、何も言わないよりは配慮してくれるかもしれないからです。

申請者と子供の戸籍謄本(1ヶ月以内のもの)

区役所等に出向き、発行してもらいます。戸籍謄本は戸籍の記載がある方全員を証明するものなので、別々に取る必要はありません。発行には手数料がかかり、1通450円です。

申請者とお子さんの健康保険証

母親が会社で働いているのであれば社会保険証になります。子供は健康保険証です。

現在の年度の住民税課税証明書

1月1日から12月31日まで1年間の所得に基づいて算出した市民税・県民税の税額を証明する書類です。前年度の所得/控除/扶養の内容が記載されています。

区役所等に出向き、申請書類に記入して窓口に提出しますが、郵送や場所によっては請求ポストが設置してあるので、都合のよい時に投函できるようになっています。

申請書をダウンロードできる市区町村もあるので、ホームページで確認してみましょう。

また最近は、オンラインで申請できるところも増えてきました。戸籍謄本もマイナンバーカードがあればオンラインで申請できるので、窓口に行く手間もはぶけますね。

申請者の身元を確認できるもの

申請者の身元を確認できるものとしては、写真あり写真なしがあります。写真ありなら1つ、写真なしなら2つ必要です。いずれも、「氏名」と「生年月日」が記載されたものです。

写真ありマイナンバーカード
運転免許証
パスポート
住民基本台帳カード
写真付き身分証明書 など
写真なし健康保険証
住民票の写し
国民年金手帳
社員証
母子健康手帳
源泉徴収票
児童扶養手当証書 など

障害認定診断書

親またはお子さんが障害を抱えている場合

児童扶養手当証書

児童扶養手当を受給している場合。母子家庭で児童扶養手当を受給している場合は、児童扶養手当証書の提出も必要です。

申請をして助成が認められると、市区町村の役所から「ひとり親家庭医療医療証」というものが自宅に送られてきます。約1ヶ月前後で通知があります。

申請をしてから1ヶ月以上経っているのにいつまでもなんの通知もない場合は、申請をした役所に相談することをおすすめします。何かの手違いで申請ができていなかったり、記入漏れや提出書類の不備があってスムーズに進んでいないことがあるからです。

また、ひとり親家庭医療医療証の更新は毎年10~11月にあり、更新の手続きが必要になります。現況届の提出が必須な市区町村もあり、更新を忘れると助成が受けられなくなるので注意が必要です。

いつまでに更新の手続きが必要なのか、一番最初に申請するときに確認しておくようにしましょう。

次は、助成制度利用の手続きです。

助成制度の利用手続き

  • 医療機関で、健康保険証とともにひとり親家庭医療医療証を提示して受診する
  • 指定した口座に振り込みがある

診察時にひとり親家庭医療医療証を提示するだけなので、簡単ですよね。

もしひとり親家庭医療医療証を利用できない医療機関を受診し、医療費を自己負担した場合でも、翌月以降に医療機関から発行された領収書を持って市区町村の窓口へ申請に行けば返金してくれます。

ただし、かかった費用を証明するのが領収書になるので、必ずもらっておく必要があります。

また、忙しくなって申請を忘れてしまった、というときは、助成申請ができる権利は5年間継続するので、忘れずに申請しましょう。

母子家庭の医療費が無料になる制度、いつまで利用できる?

母子家庭の医療費が無料になるひとり親家庭等医療費助成制度ですが、いつまでも利用できるわけではありません。期限があります。期限には大きく分けて2パターンあります。

申請者の状況が変わった

助成が利用できるのは、先に記載したように、決められた条件に該当する必要があります。この条件からはずれると利用はできなくなります。

例として

  • 収入が増えて所得条件を超えた
  • 再婚した
  • 生活保護の受給者になった

などがあります。

子供の年齢が18歳を超えた

助成の対象者には3つ種類がありました。いずれも児童が含まれていましたが、児童の年齢にも実は条件があります。それが「子供の年齢が18歳に到達して最初の3月31日まで」です。

これはつまり、子供が18歳で4月1日になれば条件に該当しなくなる、助成は利用できなくなる、ということです。最初の要因には当てはまらなくても、いずれは利用できなくなる、ということですね。

母子家庭の医療費が無料になるひとり親家庭等医療費助成制度がいつまで利用できるかは、このどちらかの早い方になります。そのため、助成制度の利用は子供が小さいうちから始めるのがおすすめです。

提出しなくてはいけない書類は色々ありますが、手続きはそれほど難しくなく、助成の利用は医療証を出すだけと、とても簡単です。

苦しい経済状況を少しでも支援してくれるこの助成制度、有効に利用したいですよね。

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