母子家庭が生活保護で受け取ることができる金額は?

母子家庭として頑張ってきたとしても、自分や子供の病気など、さまざまな事情で生活が本当に難しくなることもあると思います。

母子家庭を経済的に支援してくれる制度は色々ありますが、そういった制度を利用しても生活に困窮してどうしようもなくなったというとき、最後の支援制度として、生活保護があります。

生活保護とは、憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」に基づいた、生活保護法の制度です。

生活保護は、性別、年齢、母子家庭など婚姻状況などに関係なく、国民がみな平等に、最低限の生活を保障してもらえる制度で、利用している方は今は大勢います。

生活保護には8種類の支援があります。個々の生活によって、足りない部分を補う形で支給されます。

ここでは、母子家庭生活保護を利用した場合、支給される金額はいくらくらいになるのか、支援ごとに詳しく見ていきます。

目次

母子家庭の生活保護、受け取ることができる金額は?

先に生活保護には8種類あると書きました。一つづつ、受け取りことが金額を見ていきましょう。

生活扶助

対象になるのは、食費、光熱費、被服費などです。

厚生労働省によって定められた最低生活費の基準額から、現在の世帯収入を引いた、足りない分だけを支給をするという仕組みです。

金額は、それぞれの家庭や、住んでいる地域によって変わりますので、福祉事務所や厚生労働省の公式HPで確認をしましょう。

その金額に、母子家庭ならば「母子加算(子供1人で22,790円など、人数による。)」、「障がい者加算(1級、2級ならば26,310円など、度合いによる。)」など8種類の加算で、必要に応じてプラスされます。

また引っ越しなどがある場合は、「一時扶助」も受けられます。

教育扶助

対象になるのは、学費、給食費、教材費、通学交通費などで、義務教育の小中学校の教育をサポートします。

支給される金額の基準額は、小学生が2,600円、中学生が5,000円です。それに加え、実費で、給食費と同額、領収書を用意すれば教材代が支給されます。

住宅扶助

対象になるのは、家賃、地代などで、住宅のための費用です。転居の際の敷金礼金、持ち家の修繕費なども給付されます。

支給金額は、例えば東京都の23区であれば、1人世帯に40,900~53,700円、2人世帯なら49,000~64,000円です。ただし、水道代や共益費は含まれません。

医療扶助

治療費、手術代、薬代などです。

医療扶助では金銭ではなく、医療券という形で給付されます。

介護扶助

介護サービス費、用具費、住宅改修費などです。

介護費用の1割となる自己負担分を援助してくれます。

出産扶助

分娩費、入院費など、病院や助産施設での出産費用です。

支給金額は、医療施設分娩では上限306,000円、それ以外の居宅分娩では、上限259,000円。

妊婦検診は医療扶助、ミルク代は生活扶助となります。

生業扶助(せいぎょうふじょ)

働き始めることに必要な機材の購入や、技能習得のための費用です。

支給金額は、生業費(事業に必要な機材購入など)には46,000円、技能の習得には80,000円給付されます。

葬祭扶助

葬式、火葬、埋葬にかかる費用です。

金額は、故人が12歳未満であれば164,000円、12歳以上であれば206,000円が給付されます。最低限の葬儀となるため、直葬という、読経などのない火葬のみの葬儀となります。

母子家庭が生活保護を受けるための条件とは?

生活保護を受給するには、条件があります。生活とともに条件が変わると受給資格がなくなりますので、注意しましょう。

資産を持っていないこと

ここでいう資産とは貯金などのお金だけでなく、家や土地などの不動産も含まれます。金額は定められてはいません。

持ち家や自動車、貴金属、解約金のある保険などは、手ばなすことになる場合もあります。

他の制度を利用した上で、困窮していること

生活保護費の算出は世帯収入だけで行いません。まずは、母子家庭が利用できる「児童手当」や「児童扶養手当」などを利用し、その上でまだ満たない場合にのみ、受給できます。

働けないこと

お母さんが持病を持っていると母子家庭の生活は難しいでしょう。病気で働けないと判断されると受給できます。

また、お子さんの方に障がいがあるなどでも受給できることがあります。その場合は、「特別児童扶養手当」も利用できるので、相談すると良いでしょう。

援助できる人がいない

母子家庭の方の場合は、元夫や家族などが援助できると判断されると生活保護は受給ができません。金額の多い少ないは関係なく、援助できるかどうか、が見られます。

確認のために、家族に連絡が行くことを覚えておきましょう。

母子家庭の生活保護、申請はどのようにすればいい?

生活保護の申請をしようと思った時は、お住まいの地域の福祉事務所生活保護担当課へ相談しましょう。窓口で「生活保護申請書」を提出すると、まず、ケースワーカーとの面談が行われます。

その時点で生活や健康状態、住居の事情を説明しますので、本人確認書類のほかに、世帯収入の金額がわかる通帳や給与明細書、年金証書、病気で働けない人は医師の診断書や障がい者手帳、印鑑などを持参しましょう。

受給の条件や、他の制度の利用の提案などのお話をうかがって、面談が終わると、生活の調査に入ります。

実際にケースワーカーが家庭を訪れたり、資産、収入、扶養義務のある方への確認などが行われます。調査は2週間ほど、長くても1ヵ月以内に終了します。

母子家庭の生活保護、注意点は?

生活保護はありがたい制度ですが、利用には注意点もあります。

生活保護は、決められた金額を超える収入や資産があると受給できないので、給与や一時的な仕送りがあっても、すべて申告しなくてはいけません。貯金もできないので、お子さんのための教育費の準備ができなくなり、特に母子家庭の方などにはストレスとなるかもしれません。

また、生活保護を受けているということを引け目に感じてしまうと、お子さんの生活にも影響が出ることもあるかもしれません。

いろいろな点に気をつけながら利用する制度、と言えるでしょう。

生活保護は国民の権利ですが、利用するには条件が厳しいもののひとつと言えます。「母子家庭になったとしても、生活保護を受ければいいや」と安易に考えるのは控えた方が良いでしょう。

ですがその反面、病気やさまざまな事情で、本当にどうしたらよいかわからなくなってしまった方には、大きな救いとなる制度です。

生活保護課にはケースワーカーという職員がおり、定期的に生活の状況を確認してくれます。少しずつ相談をしながら、お子さんとあなたにとって、いちばん良い方法をえらびましょう。

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