母子家庭において、母親もしくは子供が入院を伴う治療を受けることになってしまった場合、入院費をどのように捻出したらいいのかわからず、困ってしまう場合もあるでしょう。
国民健康保険などに加入していれば、その保険が使える範囲では自己負担は最小限ですが、保険の対象外の費用については基本的に自己負担です。
もし入院ともなれば、治療費だけでなく入院費もかかり、それに伴って様々な費用が発生しますが、多くは自己負担です。
そういった万が一の時のために他の保険に入っておくのが理想なのかもしれませんが、特に収入が限られていることが多い母子家庭になると、保険料が大きな負担になるので実際には簡単ではないですよね。
母子家庭などのひとり親世帯を対象にした様々な支援制度がありますが、その中に、母子家庭の入院費の経済的負担を軽減するための助成制度があります。
ただし、この制度は母子家庭であれば誰でも利用できる、という訳ではありません。決められた条件を満たす必要があります。
そこでここでは、この制度について詳しく解説していきます。
母子家庭の入院費の支援制度とは

母子家庭の入院費を支援してくれるのは、ひとり親家庭等医療費助成制度で、厚生労働省の「子ども・子育て支援」のひとつとして制定されている制度です。この制度を利用することができれば、入院費はかなり抑えることができます。
18歳までの子供を養育している母子家庭などのひとり親家庭等を対象とし、医療機関において、入院や通院をしたときに支払う自己負担分が対象となります。
また、母子家庭が支払った入院費に加えて、薬の費用なども対象になっています。
ただし、実際にひとり親家庭等医療費助成制度を利用する際には注意が必要です。それは、対象となる医療費は市町村によって対応が異なる場合があるからです。
例えば、入院をすると入院費のほかに食事の費用も発生します。この食事の費用が助成対象となっている市町村と、対象外となっている市町村があるのです。
助成制度を申請していても、かかってから支給の対象外になっていることがわかった、ということがないように、どのような費用が対象となっているのか、事前の確認は必須です。自己判断で対象となる費用を決めるのではなく、不明瞭な部分があれば市町村の担当者に問い合わして確認しましょう。思い込みは禁物です。
もし病院で治療を受けた場合であっても、保険治療ではなく、自費治療を受けて入院をしたという場合もあるでしょう。このとき、もし入院費が発生したという場合でも、対象となるのは保険治療のみです。自費治療を受けた場合は、制度の対象外です。
また、他の支援制度・補助制度による支給がある場合には、その額を控除した金額が助成される仕組みになっています。複数の助成制度を使いたいという場合には、どのような対応になるのか、こちらも個別に確認しておく必要があります。
母子家庭の入院費の支援制度の利用手続きは?

ひとり親家庭等医療費助成制度を利用するためには、自分から申請する必要があります。申請し、承諾されないと利用することはできないことになっています。これは他の色々な支援制度も同じですよね。
申請は、ご自身の住民票がある地域の市役所や町村役場などで行います。所定の窓口に出向き、申請したい旨伝えましょう。申請方法や申請に必要な書類など、自治体によって様々なので、指示に従いましょう。
また、わからないことがあれば、申請をする前に相談にのってもらい、よくわからにまま申請するということがないようにしましょう。
申請をすると、次に審査が行われます。申請書類に不備がないか、といったことからはじめ、書いてることが事実とあっているか、利用する条件に当てはまっているか、といったことが精査されます。
申請書類の内容に不備がなく、利用条件を満たしていると判断されると、「医療証」が交付されます。この医療証を健康保険証と一緒に医療機関で提示することで、助成制度の給付を受けられます。
医療証を提示すると、住民税非課税世帯の場合は医療費の負担が0になる、住民税課税世帯の場合は定率1割の自己負担で済む、といったように、母子家庭における入院費などの医療費負担を抑えることができます。
また住んでいる自治体ではなく、外出先など普段とは異なる場所で医療機関を利用したというケースもあるでしょう。
このように居住地自治体の範囲とは異なる場所で治療を受け、自分で治療費を負担したいう場合でも、後日申請を行うことで医療費の払い戻しを受けることができます。
ただし、払い戻しには医療証や健康保険証のほか、領収書や医療費支給申請書などが必要になります。特に領収書は忘れずに必ずもらっておきましょう。
母子家庭の入院費の支援制度の注意点とは?

申請して医療証が交付され、ひとり親家庭等医療費助成制度を利用できるといっても、実際の対応は自治体ごとに大きな違いが見られるため、注意が必要です。
入院費も含めた補助がどのような形で利用できるか、医療機関を利用する前に、住んでいる自治体のホームページなどで情報を集めましょう。ひとり親家庭等医療費助成制度は地方公共団体が各自で運用している制度なので、対象者や助成方法の対応が異なることがあるからです。
基本的には自己負担額が減る、もしくは無料になるといった支援が中心となりますが、生活保護を受けている場合には助成制度が利用できない、という自治体もあります。
また医療証は、一度交付されたらずっと使えるというわけではありません。毎年10月~11月に現況届の提出が必要となる自治体もあります。現況届がない場合でも、何らかの方法で毎年更新の手続きを行うケースが多くなっています。
その更新方法も市町村のホームページに掲載されていることが多いので、事前に確認し、適切に対応できるようにしましょう。
自治体ごとに同じ制度の利用でも必要となる書類が異なる場合もあり、住んでいる自治体における対応の確認は必要不可欠でしょう。
母子家庭の入院費の支援制度が利用できないときは?

ひとり親家庭等医療費助成制度は母子家庭なら誰でも利用できるわけではなく、所得制限が設けられている場合もあります。決められた所得を少しでも超えると利用はできません。
この場合、小児医療費助成制度が利用できるかもしれません。
小児医療費助成制度は、0歳から中学校卒業までの子どもの保険医療費の自己負担額を助成する制度です。支援の内容はひとり親家庭等医療費助成制度と似ていますが、利用できるのは母子家庭やひとり親に限定していない、という違いがあります。
この制度もひとり親家庭等医療費助成制度と同じように、自治体ごとに助成内容や申請方法には違いが見られます。自治体ごとに母子家庭の入院費や治療費の助成で利用できる制度を個別に確認し、必要な助成を適切に受けられるようにしましょう。