母子家庭で子供の進学が難しい、利用できる就学援助とは?

昨今、母子家庭は珍しくはありません。それは、男性に依存せず女性が選べる選択肢が増えたということでしょう。

しかし、未だに女性の平均賃金は男性の平均賃金より引いという状況は変わっていません。母子家庭では生活するので精いっぱいという家庭が多いということは、あまり変化がありません。

母子家庭では、母親に収入ですべてをまかなわなくてはなりません。生活費には、賃貸に住んでいるのであれば家賃、かならずかかるのは、食費、光熱費、衣服、税金などがあり、ある程度の出費はやむおえないですよね。

それに加えて保険料や医療費なども必要ですが、一番頭を悩まされるのは、子供の学費ではないでしょうか。

幼稚園、保育園から始まり、義務教育の小中学校だけでなく、その先、高校、大学と、長期にわたって学費は必要になりますが、場合によっては学費が出せなくて進学をあきらめる、という家庭もあります。

子供には母子家庭ということで就学をあきらめてほしくない、というのは親の切なる思いではないでしょうか。

多くの母子家庭のように収入が少ない世帯を対象に、日本には色々な支援制度があります。日本の将来は子供の教育にかかっているからです。

そこでここでは、母子家庭が利用できる就学援助について調べてみました。

目次

母子家庭が利用できる就学援助とは?

小学校・中学校は授業料についてはかかりませんが、そのほかも様々な費用をねん出しなければなりません。

その費用は年間小学校で32万、中学校で49万といわれています。月にそれぞれ約3万円、4万円ですから、授業料はかからないと言っても母子家庭にとってはかなりの出費です。

ここで助けになるのが「就学援助制度」です。

市町村によって違いますが、給食費・学用品費等・入学準備金・修学旅行費・社会科見学費・校外活動費などを支給してくれます。

利用条件については市町村によっても変わりますが、おおむね下記のとおりです。

  • 生活保護世帯
  • 市・県民税が非課税または国民健康保険料、国民年金が全額免除になっている方
  • ひとり親家庭などで児童扶養手当を受けている方

母子家庭を含む、いわゆる低所得世帯が利用の対象になっています。

母子家庭が利用できる就学援助、無利子で借りられる

この母子父子寡婦福祉資金貸付制度は給付ではなく貸付となります。つまり借金ですね。ただし無利子で借りることができます。また返済期間は最長で20年と長く、ある程度余裕をもって返済が可能です。

細かく金額が決められており、学費だけでなく、一人暮らしの費用として利用したり、入学金、制服などの入学準備のために使う費用などにも充てることができます。

利用条件は細かく設定されておりますが、おおむね下記のとおりです。

  • 児童扶養手当の支給を受けていること
  • 返済などが可能と認められること
  • 税金の滞納がないこと
  • 60歳未満
  • 居住地が安定していること

母子家庭が利用できる就学援助、授業料が実質無料

小学校・中学校とは違い、高校からは公立でも授業料を支払う必要が出てきますが、平成22年から施行された「高等学校等就学支援金制度」を利用すれば、授業料が実質無料になります。

厳密にいうと、母子家庭だから利用できる制度ではありませんが、両親の収入によって支援金の金額が決定するため、母子家庭で母親しか働いていない家庭では実質無償化の可能性が高くなります。

支給内容としては国公立であれば年収950万円未満の世帯では11万8800円で、実質無料になります。

私立であれば成立当初は費用負担があったものの、令和2年に見直しをされ年収590万円未満であれば39万6000円が支給され、多くの私立で実質無料となります。

支給要件は以下の通りです。

  • 日本国内在住
  • 年収950万未満の世帯の児童

注意点としては、無償化といっても、それはあくまで授業料のみです。

学校の施設利用費、修学旅行代、就学準備に必要な資金(制服・教科書など)は負担があります。それを出すのが苦しい場合は先述している貸付の制度などを利用する必要があります。

母子家庭が利用できる就学援助、大学進学費用

高等教育の就学支援新制度というのは、大学に進学するための費用を支援する就学援助制度になります。所得に関係なく、社会で自立し活躍することができる人材を育てようとする少子化対策の一環で始まりました。

内容としては、国公立の学費は全額免除に、私立大学では約75パーセントの学費が免除となります。

また、学校生活を送るにあたっての生活費等の支援も受けることができます。これは大学だけではなく、専門学校や短期大学に進学する際も利用可能です。

支給の要件は3点あります。

  • 母子家庭では、年収460万円未満(年収・扶養する児童の人数によって区分があり区分に応じて免除になる金額が違います。)
  • 資産が1250万円未満(母子家庭でなければ2000万円未満)
  • 高校での成績に一定の要件があります

このうち、三つ目の高校での成績については細かい設定があるため、文部科学省のホームページを参照してください。

母子家庭が利用できる就学援助、教育扶助

上記の制度を利用しても生活自体が苦しいといった場合は、生活保護を利用するということも可能です。

生活保護制度には教育扶助という枠があります。この枠は小学校・中学校の児童を養育する過程に適応される扶助です。

学校教育費だけでなく教材代、修学旅行代、給食費等もこの扶助で支給を受けられます。

高校生になると教育扶助が受けられなくなりますが、生業扶助の範囲で支給を受けることができます。

生業扶助では高等学校就業費として入学金などの費用を扶助することができます。ただし、修学旅行費だけは扶助の対象となりませんので、貸付制度などを利用する必要があります。

母子家庭が利用できる就学援助、自治体の支援

今回、母子家庭で利用できる就学援助についてみてきました。

今回調べたもの以外にも、市町村が独自に行っている就学援助制度もあります。一度、お住いの市町村に確認してみましょう。市町村には福祉の窓口もありますので、相談をしてみると良い方法を教えてもらえるかもしれません。

様々な制度を利用して子ども達には夢を追いかけてほしいと思っています。

ただ、まだまだ教育費に関しては不足を感じるのも事実です。「異次元の少子化対策」を打ち出した岸田政権が、もっと就学援助に目を向けてくれることを願っています。

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