母子家庭の方が得?母子家庭だからこそ利用できる制度とは?

世間では一般的に恵まれない境遇と捉えられがちな母子家庭ですが、本当にそうなのでしょうか。実は見方を変えたり行政などの制度を知ることで、母子家庭の方が得だと感じる場面もあるかもしれません。

母子家庭には様々な支援制度や補助制度があるということは世間に広く知られていますが、それでは、母子家庭だからこそ受けることのできる手当や控除にはどのようなものがあるのでしょうか。

また母子家庭の方が得、という見方は本当に正しいのでしょうか。

そこでここでは、母子家庭だからこそ利用できる支援制度、補助制度にはどんなものがあるか、そして、本当に母子家庭の方が得になるのか、もし特になるのであれば、その理由などを解説したいと思います。

目次

母子家庭の方が得、利用できる支援制度は?

母子家庭が利用できる主な支援制度には、次のようなものがあります。

  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 住宅手当
  • 医療費助成制度
  • こども医療費助成
  • 特別児童扶養手当
  • 母子家庭の遺族年金
  • 児童育成手当
  • 寡婦控除

順番に見ていきます

児童手当

児童手当は、0歳から15歳の子供がいる家庭を対象に、手当の受給者の所得が決められた金額以下であれば、母子家庭に限らず一般家庭でも受けとることができます。

国から支給される手当ということもあり、特に「母子家庭の方が得」とは言えないでしょう。

児童扶養手当

児童手当とは違い、児童扶養手当は母子家庭や父子家庭、あるいは子を養育する祖父母等に限定して支給される手当です。母子家庭になった理由を問われることはなく、0歳から18歳の子供がいる世帯が対象となります。

支給額は子供の人数や所得によって異なる点は、児童手当と同様です。また全額支給される場合もあれば、所得によっては一部支給、あるいは支給がされないケースもあります。

たとえば対象となる子供が1人で、母親の所得が57万円以内ならば全額支給されますが、274万円を上回る所得があれば手当は支給されません。

住宅手当

母子家庭で住宅手当が支給されるのは、20歳未満の子供がいる家庭です。また、家賃の支払いが月額10,000円を超えていることも条件となります。

こちらも所得制限があり、手当を支給する自治体によって制度の有無も異なるため、母子家庭であれば誰もが利用できるわけではありません

また、母子家庭に住宅手当を支給している自治体であってもその支給額は異なります。相場としては5,000円から10,000円で、毎月かかる家賃の負担軽減になるでしょう。

一方で所得制限を超える所得があったり、逆に生活保護を受けているなどの場合には、母子家庭の住宅手当は支給対象外となっています。

医療費助成制度

母子家庭の家計において、大きな負担となるのが医療費の支払いです。

他の生活費は支出の計画は立てられますが、急な病気や怪我など、医療費は突然支払いが必要になることが多く、想定しておくことは難しいものです。そういったときのために、母子家庭が利用できるのが医療費助成制度です。

医療費助成制度では、子供の医療費だけではなく保護者の医療費についても対象となります。助成の対象となるのは0歳から18歳までの子供がいる母子家庭で、その助成内容は自治体によって異なるので、利用に際しては確認が必要です。

こども医療費助成

医療費助成制度には所得制限があり、一定の所得を超えていると対象外になってしまいます。そういった場合、こども医療費助成が適用できることがあります。

ただしこども医療費助成では、子供にかかった医療費のみが助成され、保護者の医療費は対象になりません。

いずれにしても医療費の負担は母子家庭の家計を圧迫することは間違いなく、これらの助成が助かる制度なのは間違いないでしょう。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は自治体ではなく、国が運営している制度です。20歳未満の子供がいる家庭に支給される手当であり、母子家庭に限ったものではありません。

支給の対象となるのは主に、子供に精神的、身体的に障害が認められることが条件になります。

所得制限が設けられているのは他の制度と同様ですが、さらに子供の人数の他に障害の等級によっても支給額が異なります。当然のことですが、等級が上がるほど支給額が増えていきます。

たとえば子供が1人で等級が2級の場合は、34,970円が支給額となります。しかし同じく子供が1人でも等級が1級ならば52,500円が支給されることになっています。

遺族年金

母子家庭の遺族年金では、年金の種類や子供の年齢によってもその支給金額が異なります。

たとえば遺族基礎年金では夫を亡くした母親と、18歳未満か障害等級が1級ないし2級の20歳未満の子供がいる母子家庭が対象です。しかし6,555,000円以上の所得がある場合は対象外です。

また遺族厚生年金では、夫によって生計をたてていた母親とその子供が対象で、さらに子供がいない妻にも支給される年金です。

母子家庭が受けとることのできる遺族年金には様々なものがあり、父親を亡くした母子家庭を支えています。

児童育成手当

児童育成手当は、18歳までの子供がいる母子家庭をはじめとするひとり親世帯が支給の対象です。支給額は子供1人あたり月額13,500円と決まっています。

この手当も児童扶養手当と同様に、離婚や死別などの母子家庭となった理由は問いません。また児童育成手当にも所得制限が設けられていますが、その金額は児童扶養手当より高く設定されています。

寡婦控除

寡婦控除とは、離婚や死別などで独身になった女性が受けることのできる所得控除であり、再婚をしていない母子家庭も対象です。

寡婦控除には所得が500万円を超えないことなどを条件とした一般の寡婦控除と、さらに扶養する子供がいるなどの条件が追加された特定の寡婦控除があります。

母子家庭の方が得、本当のところは?

このように、母子家庭になると様々な手当を受け取れることになります。

母子家庭の方が得と言われるのは、こういった手当や助成などの制度があるからでしょう。またそれに加えて、負担を軽減させる控除などの制度もあります。

しかし、いずれも所得制限があったり決められた条件を満たす必要があったりと、母子家庭であればどの家庭でも利用できるわけではありません。所得がわずかに決められた金額を超えているため手当をもらえない、というケースも実際には沢山あります。

そういったことから考えると、単に母子家庭の方が得、とは言い切れないのでないしょうか。

確かに母子家庭だけが対象となる制度があることも事実です。そのことだけを取ってみれば「母子家庭の方が得」となるのかもしれませんが、全体を通してみれば、元々生活に苦しい母子家庭を助けるための制度であり、必ずしも得にはなっていないのが現実ではないでしょうか。

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