母子家庭の医療費控除、歯列矯正しても受けられる?

母子家庭を支援してくれる制度には色々とありますが、その中のひとつに「医療費控除」があります。

医療費控除は一般的には「ひとり親家庭等医療費助成制度」などと呼ばれていて、病院にかかった費用を支給してくれる制度で、母子家庭の親だけでなく、子供が病院にかかった費用も助成の対象になっています。

医療費控除を受けるには、母子家庭であることはもちろんのこと、収入が一定の金額以下であることや、診療内容が保険診療の範囲内であること、子供の年齢制限を超えないことなどの条件がありますよね。

この医療費控除を受けている母子家庭の方は多いと思いますが、この条件の中で悩ましいのは「診療内容が保険診療の範囲内であること」ではないでしょうか?

と言うのは、保険がきかない診療や治療は、全額自己負担になってしまうからです。

定期的に病院に行っている人は多く、その中でも1、2位を争うのは歯医者でしょう。街中に出れば、あちこちに歯医者さんがあるのが目に入りますよね。歯医者さんが多いというのは、それだけ歯の治療をしている人が多いということで、大人から子供まで、たくさんの人が歯の治療を受けています。

歯の治療も、多くは保険がきくので医療費控除の対象になっていますが、高額な治療、たとえば、インプラントや歯列矯正などは基本、医療費控除の対象になっていません。そのため、簡単な虫歯の治療はできても、抜けた歯を補ったり、歯並びを整えるといったことにかかる費用はすべて自己負担になってしまいます。

母子家庭の方も、ご自身や子供が歯医者に通っている、という人は多いと思います。そして治療を受ける前に先生から、「保険がきく治療でいいですか?」と聞かれませんでしたか?

虫歯や親知らずで痛い、というときは、保険がきくこともあってすぐに歯医者に行きますが、歯並びが悪いとか抜けてしまった歯を埋めたい、と思っても、保険がきかないし、今は特に困ってないのでいいか、とあと回しにしていませんか?

実際、インプラントや歯列矯正の中でも審美矯正のように見た目、美容が目的の歯列矯正は保険はききませんが、実は先天異常や顎変形症の治療などが目的の矯正であれば保険がきくんですよ。保険がきけば、母子家庭で医療控除を受けている方は、歯列矯正でも医療費が支給されますよね。

先天異常や顎変形症と言われても、イマイチピンとこないですよね?そこで、歯列矯正で医療費控除になるのはどのような症状か、調べてみました。

目次

歯列矯正で医療費控除になるのは?

歯列矯正で医療費控除になるのは、実は国税庁のホームページで、おおまかですが次のように定義されています。

“ホーム/税の情報・手続・用紙/税について調べる/タックスアンサー(よくある税の質問)/
No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例”のページで、「歯の治療に伴う一般的な費用が医療費控除の対象となるかの判断」の(2)に、

「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません。」

とあります。

症状についてあまり具体的なことは書かれてないですが、目的によっては医療費控除を受けられることはわかります。国のお墨付きがあるわけですから、これは安心ですよね。

でもこれだけでは具体的な症状はわかりません。不正咬合というには何となくわかりますが、では何をもって不正咬合と呼ばれるのか、が知りたいところでしょう。

医療費控除になる症状

医療費控除になる症状は、日本矯正歯科学会という法人組織で、次のように定義されています。

  1. 「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
  2. 前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する矯正歯科治療
  3. 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療

1は、その名の通り、厚生労働省で決めている疾患が原因で咬み合わせがうまくいかない場合に行う歯列矯正で、「厚生労働省で決めている疾患」というのは全部で59種類もあります。疾患の具体名はこの記事の最後に記載してありますので、参考にして下さいね。

2の「永久歯萌出不全」というのは、大人になっても永久歯が正常に生えてこない状態のことです。そしてその治療に、埋伏歯開窓術という歯茎を切開し歯茎の中に埋まったままの永久歯を露出させる手術が必要なケースに限り、医療費が控除になります。

3の顎変形症というのは、上顎・下顎の形や大きさの異常、あるいは、上顎・下顎の配置の歪みにより、咬み合わせの異常(不正咬合)があったり、顔が変形してしまったりする病気のことで、顎の外科手術が必要な場合、手術の前や後に行う矯正の医療費が控除になります。

ここで注意すべきことがひとつあります。それは、②の場合は埋伏歯開窓術そのものが矯正治療になるのですが、③の場合、顎の外科手術は矯正治療ではない、ということです。つまり、②では治療が矯正で医療費控除になるのに対して、③は医療費控除になるのは歯列矯正だけで顎の外科手術の費用は控除の対象にはならない、ということです。

2であれば、母子家庭なら医療費の自己負担は実質ゼロですが、3となると、矯正の費用は控除されるものの外科手術代は自己負担になってしまいますが、今のところは仕方ないですね。母子家庭にとっては、こういうところは早く法改正してほしいですよね。

歯列矯正の医療費控除はどの歯医者さんでも、というわけではありません。

これまで、どんな時に歯列矯正が医療費控除になるのか見てきましたが、実は、どの歯医者さんでも同じように控除が受けられるわけではない、ということも知っておきましょう。

日本矯正歯科学会のホームページでは、次のように指定しています。

『保険適用される矯正歯科治療を行える医療機関は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関のみ』

「〇〇歯科」や「○○歯科医院」と名の付く歯医者さんは、まずこの認可を持っていることは少なく、「〇〇〇矯正歯科」と名乗っている歯医者でも厚生労働省に認可されているところは多くはありません。

そのため、歯列矯正の治療を受ける際には、必ず矯正治療が医療費控除の対象になるのか確認しましょう

歯列矯正が必要と厚生労働省が決めている疾患

次の59種が厚生労働省で決めている疾患になります。

  • 唇顎口蓋裂
  • ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む。)
  • 鎖骨頭蓋骨異形成
  • トリーチャ・コリンズ症候群
  • ピエール・ロバン症候群
  • ダウン症候群
  • ラッセル・シルバー症候群
  • ターナー症候群
  • ベックウィズ・ウイーデマン症候群
  • 顔面半側萎縮症
  • 先天性ミオパチー
  • 筋ジストロフィー
  • 脊髄性筋委縮症
  • 顔面半側肥大症
  • エリス・ヴァンクレベルド症候群
  • 軟骨形成不全症
  • 外胚葉異形成症
  • 神経線維腫症
  • 基底細胞母斑症候群
  • ヌーナン症候群
  • マルファン症候群
  • プラダー・ウィリー症候群
  • 顔面裂(横顔裂、斜顔裂及び正中顔裂を含む。)
  • 大理石骨病
  • 色素失調症
  • 口腔・顔面・指趾症候群
  • メビウス症候群
  • 歌舞伎症候群
  • クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  • ウイリアムズ症候群
  • ビンダー症候群
  • スティックラー症候群
  • 小舌症
  • 頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群及び尖頭合指症を含む。)
  • 骨形成不全症
  • フリーマン・シェルドン症候群
  • ルビンスタイン・ティビ症候群
  • 染色体欠失症候群
  • ラーセン症候群
  • 濃化異骨症
  • 6歯以上の先天性部分無歯症
  • CHARGE症候群
  • マーシャル症候群
  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症
  • ポリエックス症候群(XXX症候群、XXXX症候群及びXXXXX症候群を含む。)
  • リング18症候群
  • リンパ管腫
  • 全前脳胞症
  • クラインフェルター症候群
  • 偽性低アルドステロン症
  • ソトス症候群
  • グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
  • 線維性骨異形成症
  • スタージ・ウェーバ症候群
  • ケルビズム
  • 偽性副甲状腺機能低下症
  • Ekman-Westborg-Julin症候群
  • 常染色体重複症候群
  • その他顎・口腔の先天異常


「その他顎・口腔の先天異常」とは、顎・口腔の奇形、変形を伴う先天性疾患であり、当該疾患に起因する咬合異常について、歯科矯正の必要性が認められる場合に、その都度当局に内議の上、歯科矯正の対象とすることができる

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