給付型奨学金には親の年収が関係ないものもある?

給付型奨学金の多くは、親の年収が必須条件となっています。そのため、給付型奨学金はとても狭い門となっているのが現実です。

ほとんどの給付型奨学金は家計の審査があり、親の年収が基準を少しでもオーバーすると審査には通りません。たとえ成績が良くても、どんなに学ぶ意欲が高く成績が上がっているなど学びの成果が出ているとしても、関係ありません。

例えば、公的機関である日本学生支援機構(JASSO)の場合、「学力基準」「家計基準」「資産基準」と3つの採用基準があり、家計基準については、想定する世帯構成(親と兄弟の状況など)により条件をクリアする親の年収が示されています。

「年収の例はあくまで目安です。収入基準は収入・所得に基づく課税標準額等により設定されているため、世帯構成、障害者の有無、各種保険料の支払い状況等により、目安の金額を上回っていても対象となる場合や、下回っていても対象とならない場合があります。」との補足があるように、完全に親の年収で足切りされるということはないようですが、大きな条件であることは間違いありません。

JASSOの「給付型奨学金(返済不要)」のサイトの最初の1文にはこう書かれています。

「経済的理由で大学・専門学校への進学をあきらめないよう、2020年4月から新制度がスタートしています。世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができます。」と、あくまで経済的理由が一番大きいポイントであるように見えます。

しかしながら、学生の学びたい気持ちと親の年収は関係ないですよね。

親の年収がある程度高くても、親自身が病気で医療費がものすごくかかっている状況だったり、祖父母などの親族の介護等で費用がかさんでいる事情があったり、親子の意見の食い違いなどによる関係性の悪化や、家庭内暴力から逃れてきているなどの特殊な事情などから、学びたいと切望しても親の援助を受けられない学生は多くいます。

このような学生に対しても一律家計の条件を満たさないということで審査が通らないとしたら、あまりな仕打ちではないでしょうか。

実は、親の年収が関係ない給付型奨学金は、数は少ないですがあります。もちろん利用するには条件があり、申し込めば誰でも、というわけではありません。

ここでは給付型奨学金の中でも、親の収入が関係ない奨学金についていくつか紹介したいと思います。

目次

給付型奨学金、親の年収が関係ないのは?

親の年収が関係ない給付型奨学金は、実は調べていくと結構あるのがわかります。そのうちのいくつかを紹介します。

  • 公益財団法人 似鳥国際奨学財団
  • 公益財団法人 キーエンス財団
  • 一般財団法人荒井芳男記念財団
  • 公益財団法人伊藤謝恩育英財団
  • 公益財団法人コカ・コーラ教育・環境財団

公益財団法人 似鳥国際奨学財団

家具とインテリア用品小売業の大手であるニトリが運営する奨学金です。

ニトリは皆さんも一度は利用したことがあるのではないでしょうか?大きな家具屋さん、というイメージがありますが、実は公益財団法人を立ち上げ、奨学金の提供もしているのです。

公益財団法人 似鳥国際奨学財団の日本人大学生を対象した給付型奨学金の応募資格は、日本国籍を有することと年齢・学年だけです。親の年収という条件の記載はありません。

ただし、奨学生の義務として「日本国内に居住していること、毎月のレポート提出、交流会の参加、アルバイトに従事していること」が条件となっています。

奨学金の目的として掲げられている言葉は「似鳥国際奨学財団は、人のため・世のために役に立ちたいと、夢に向かってチャレンジし、学業に励む人を応援します。『学力優秀』と『志操堅実』の両方を兼ね備えながらも、経済的理由により就学が困難な人を支援してまいります。 」となっていることからも、学生の学びたい気持ち、夢に向かって進んでいきたい気持ちをサポートしたいということが伝わってきます。

採用人数は 100名程度(上期・下期合わせて)となっており、奨学金の中でも多い方なのですが、日本中からたくさんの学生が応募するので、とても狭き門となってます。

公益財団法人 キーエンス財団

自動制御機器や計測機器、光学・電子顕微鏡などの開発製造販売をしている日本の民間企業です。業界内では非常に有名な企業で、日本国内だけでなく、海外にも広く知れ渡っています。

公益財団法人キーエンス財団の奨学金は2種類あります。「給付型奨学金(新1年生向け)」と「がんばれ!日本の大学生 応援給付金」です。

どちらも日本国内の4年制大学に在籍する大学生が条件であり、この2種類は年齢・学年により区別されています。先の似鳥国際奨学財団の奨学金と同じく、条件に親の年収の記載はありません

「世帯の所得金額は選考基準の一つではありますが、応募に当たっては所得による制限はありません。」と明記されていますし、「がんばれ!」の募集要項には「募集対象者:勉学に励み、目標をもって頑張っている大学生」の一文があり、こちらも頑張っている大学生を応援したいという気持ちが伝わってきます。

選考方法は「当財団の選考委員会で、学業成績、経済的な状況、小論文等を基に総合的に選考を行います。」となっていますので、小論文や面接を通して、学生を総合的に判断して採用を決定するのだと思われます。

採用人数は、新1年生向けは500名程度、がんばれの方は1000名程度となっており、奨学金額はそれぞれ月額8万円、一括30万円です。

給付型奨学金の募集人数としてはかなり多い方で、それゆえ、大学生からは人気があり、こちらも狭き門です。

一般財団法人荒井芳男記念財団

一般財団法人荒井芳男記念財団は、「科学技術分野の研究に携わる研究者を支援することにより、広く科学技術の振興と進歩を図り、もって持続可能な社会の実現に寄与することを目的としています」とあり、そのための奨学金を用意しています。

科学技術分野に携わる者(本助成は学生を対象)を支援することにより、科学技術の振興を図り、もって社会経済の発展に寄与することを目的としています。

対象者が大学の学部、学科が機械系、化学系、電気系の学生に限定されていますが、条件に親の収入はなく、親の年収にはやはり関係がない奨学金です。

応募資格としては「経済的支援を必要とする者」とあり、所得課税証明書(本人、家計支持者)を提出する必要がありますが、親の年収がいくらだったらOKのような明確な数字の条件の記載はありません。

公益財団法人伊藤謝恩育英財団

公益財団法人伊藤謝恩育英財団は、イトーヨーカドーの設立者である伊藤雅俊氏が、「自ら学ぶ”意欲を持つ若い人たちに奨学金を給付することによって、勉学の場や自己啓発の機会を提供し、有能な人材の育成に寄与したい」との願いのもと、設立した財団です。

奨学生募集に当たっては、次のように明記されています。

「経済的理由があること」、「自ら学ぶ意欲が旺盛であること」、「謝恩の気持ちが強く、誠実であること」を中心に選考させていただきます。

また、家計収入等について、の項では、

家計収入による応募の規制はしていません。ただし、大学進学のために奨学金が必要であること、また、奨学金の目的が学費であることが前提です。

とあり、親の年収には関係ないことが明確になっています。

難点は、対象になる大学が4年制大学で、その中でも著名な大学に限定されていることでしょう。地元系の国公立、私立大学や医学系の6年制の大学は対象になっていないので、利用できる学生も限定されてきます。

公益財団法人コカ・コーラ教育・環境財団

一度は飲んだことがあるコカ・コーラ、その会社が運営するのが公益財団法人コカ・コーラ教育・環境財団で、活動の一環として奨学金制度を用意しています。

応募資格としては、大学進学者向けでは、日本国内の高等学校に通う学生であること、経済的支援を必要とする方、20歳以下があり、特徴的なのは、「環境問題への取り組みとして、環境、特に地球・環境資源関連領域に係る興味のある方」があげられていることです。

これは、コカ・コーラ社がSDGsに取り組むにあたり、「環境分野、特に地球環境・環境資源の領域の向上に寄与する人材を育成することを事業方針」とすることになったからです。

人材に対する条件はありますが、ここも親の年収に関する記載はなく、関係ないことが明確になっています。

給付型奨学金、親の年収が関係ないところは就職が条件?

これら企業や民間団体の奨学金の場合、奨学金をもらってしまうと将来就職しなければいけないのでは、という不安があるかもしれません。

しかしそちらについても、そのような条件の記載はなく、縛りはありません

なかには、「当財団の奨学金給付は、大学卒業後の進路等について制約を課すものではありません。」と記載してある奨学金もありますので、心配な時は事前に確認してみましょう。

親の年収が関係ない奨学金は、数が少なく、とても人気があります。SNSでは「審査や面接に通るコツは?」「倍率は?」「落ちたー・・・」などが見られます。

親の年収に関係ない、学びたい意欲を持つ学生を応援してくれるこのような給付型奨学金がますます増えることを願うばかりです。

※実際の応募に際しては、最新の情報や詳細を各財団のHPなどでご確認ください

給付型奨学金の申請に必要な書類と準備方法

給付型奨学金を受けるためには、親の年収に関する情報を含むいくつかの書類が必要です。これらの書類は、あなたが奨学金を受ける資格があるかどうかを判断するための重要な要素です。しかし、どのような書類が必要なのか、またそれらをどのように準備すれば良いのかを知らない人も多いでしょう。このセクションでは、給付型奨学金の申請に必要な書類とその準備方法について詳しく説明します。

必要な書類一覧とその詳細

まず、給付型奨学金の申請に必要な書類の一覧を見てみましょう。一般的には、以下のような書類が必要となります。

  • 申請者の成績証明書
  • 申請者の住民票
  • 親の所得証明書
  • 親の源泉徴収票

これらの書類は、申請者が給付型奨学金を受ける資格があるかどうか、そして親の年収がどの程度であるかを示すためのものです。それぞれの書類には特定の情報が記載されており、それぞれが重要な役割を果たします。例えば、成績証明書は申請者の学業成績を示し、住民票は申請者の住所や世帯構成を示します。親の所得証明書や源泉徴収票は、親の年収を証明するためのものです。

書類の準備方法と注意点

次に、これらの書類の準備方法について説明します。成績証明書は学校から、住民票は市役所や区役所から取得できます。親の所得証明書や源泉徴収票は、親が勤めている会社や税務署から取得できます。

これらの書類を取得する際には、時間がかかることがあります。特に、親の所得証明書や源泉徴収票は、会社や税務署によっては取得に時間がかかる場合があります。そのため、奨学金の申請期限を確認し、余裕をもって書類を準備することが重要です。

また、これらの書類は最新のものを提出する必要があります。古い書類を提出してしまうと、申請が受け付けられないことがあります。そのため、書類を取得したらすぐに確認し、最新の情報が記載されていることを確認しましょう。

給付型奨学金の申請手順と注意事項

給付型奨学金を申請するためには、一連の手続きが必要となります。この手続きでは、親の年収に関する情報を正確に提供することが求められます。しかし、この手続きは複雑で、何をどのように行えば良いのか分からない人も多いでしょう。このセクションでは、給付型奨学金の申請手順とその注意事項について詳しく説明します。

申請手順の詳細

まず、給付型奨学金の申請手順は以下のように進行します。

  1. 奨学金の申請書を取得します。これは、学校や奨学金の公式ウェブサイトからダウンロードできます。
  2. 申請書に必要な情報を記入します。これには、自分の個人情報や学業情報、親の年収に関する情報などが含まれます。
  3. 必要な書類を準備します。これには、成績証明書や親の所得証明書などが含まれます。
  4. 申請書と必要な書類を一緒に提出します。これは、学校や奨学金の公式ウェブサイトで指定された方法で行います。

これらの手順を順に行うことで、給付型奨学金の申請を進めることができます。しかし、各手順には注意が必要です。次のセクションで、それぞれの手順で注意すべき事項について説明します。

申請手順で注意すべき事項

給付型奨学金の申請手順では、以下のような事項に注意する必要があります。

  • 申請書の記入: 申請書は、自分が奨学金を受ける資格があるかどうかを判断するための重要な書類です。そのため、記入する情報は全て正確でなければなりません。特に、親の年収に関する情報は、給付型奨学金の審査に大きな影響を与えます。この部分を正確に記入することが重要です。
  • 書類の準備: 必要な書類は全て最新のものを提出する必要があります。古い書類を提出してしまうと、申請が受け付けられないことがあります。また、書類は全て綺麗に保管し、汚れや破損がないことを確認してください。
  • 申請書の提出: 申請書は、指定された期間内に提出する必要があります。期間を過ぎてしまうと、申請が受け付けられないことがあります。また、提出方法も指定されていますので、それに従って提出してください。

給付型奨学金の審査基準

給付型奨学金を受けるためには、一定の審査基準を満たす必要があります。審査基準は、学生の学業成績や親の年収など、様々な要素を考慮に入れています。このセクションでは、給付型奨学金の審査基準とその詳細について説明します。

審査基準の概要と詳細

給付型奨学金の審査基準は、主に以下の3つの要素を考慮に入れています。

  1. 学業成績: 学生の学業成績は、奨学金の審査において重要な要素です。優秀な成績を維持している学生は、奨学金を受ける可能性が高くなります。
  2. 親の年収: 親の年収は、学生の経済的な背景を反映する重要な指標です。親の年収が低い場合、学生は奨学金を受ける可能性が高くなります。
  3. その他の要素: 学生の活動歴や志望動機など、その他の要素も審査に影響を与えます。

これらの要素を総合的に評価し、学生が奨学金を受ける資格があるかどうかを判断します。

審査基準を満たすための準備

給付型奨学金の審査基準を満たすためには、以下のような準備が必要です。

  • 学業成績の維持: 学業成績は、自分自身の努力で改善できる要素です。定期的に勉強をし、試験に向けて十分な準備をすることが重要です。
  • 親の年収に関する情報の提供: 親の年収に関する情報は、所得証明書などの公的な書類で証明する必要があります。これらの書類は、申請の際に提出する必要があります。
  • その他の要素の強化: 学生の活動歴や志望動機など、その他の要素も強化することが推奨されます。例えば、ボランティア活動に参加する、自分の将来の目標について明確にするなどの努力が求められます。

給付型奨学金の申請結果の通知方法

給付型奨学金の申請を行った後、次に待つのは申請結果の通知です。この通知は、通常、郵送または電子メールで行われます。しかし、結果が出た後にどのように対応すれば良いのか、また、親の年収が結果にどのように影響するのか、といった疑問を持つ人も多いでしょう。このセクションでは、給付型奨学金の申請結果の通知方法とその対応策について詳しく説明します。

申請結果の通知方法と期間

給付型奨学金の申請結果は、申請から数週間後に通知されます。通知方法は、学校や奨学金の種類により異なりますが、一般的には郵送または電子メールで行われます。また、一部の学校や奨学金では、ウェブサイト上で結果を確認することも可能です。

申請結果の通知は、親の年収や学業成績など、審査基準に基づいて行われます。そのため、申請者は自身の情報が正確であることを確認し、必要な書類を全て提出しておくことが重要です。

申請結果に対する対応策とその方法

給付型奨学金の申請結果に対する対応策は、結果により異なります。以下に、主な対応策を示します。

  • 奨学金が授与された場合: 奨学金が授与された場合、通知に記載された指示に従ってください。通常、奨学金の受け取り方法や期間、必要な手続きなどが詳細に記載されています。
  • 奨学金が授与されなかった場合: 奨学金が授与されなかった場合、再申請を検討することが可能です。その際、親の年収や学業成績など、審査基準を満たすための改善策を考えることが重要です。

給付型奨学金を受けるための具体的な準備

給付型奨学金は、学生の経済的負担を軽減し、より良い教育環境を提供するための重要な制度です。しかし、その申請は親の年収や学生の学業成績など、様々な要素が考慮されるため、適切な準備が必要です。このセクションでは、給付型奨学金を受けるための具体的な準備について説明します。

給付型奨学金を受けるための準備

給付型奨学金を受けるためには、まず自身がその対象者であることを確認することが重要です。対象者は学校や奨学金の種類により異なりますが、一般的には学業成績が一定の基準を満たし、かつ親の年収が一定以下であることが求められます。

また、申請には必要な書類の準備が必要です。これには、学業成績証明書や親の所得証明書などが含まれます。これらの書類は、申請の審査において重要な役割を果たすため、早めに準備しておくことをおすすめします。

給付型奨学金を受けるための対応

給付型奨学金の申請が承認された場合、次に考えるべきはその活用方法です。奨学金は学費や生活費の支援を目的としていますが、その活用方法は受給者に委ねられています。そのため、自身の学業目標や生活状況に合わせて、最適な活用方法を考えることが重要です。

また、申請が承認されなかった場合でも、再申請することが可能です。その際、前回の申請で不足していた点を改善し、再度申請を行うことをおすすめします。

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