母子父子寡婦福祉資金で貸付金を利用したい、どんな条件がある?

母子家庭になるのには様々な理由がありますが、母子家庭になった時、一般的には世帯の収入は減ることになります。

専業主婦であったなら世帯としての収入はなくなり、共働きであったとしても、元夫の収入分が減ります。養育費をもらうことになったとしても、世帯収入は減ることがほとんどでしょう。

実際に、厚生労働省が公表している「全国ひとり親世帯等調査(旧:全国母子世帯等調査)」によれば、母子家庭の世帯収入は、児童のいる世帯全体の平均収入と比べて49.2%に過ぎません。

そのため、普段でも生活費の負担が大きく、子供の教育費などの工面で苦労することは少なくありません。場合によっては貸付金などを利用する必要も出てきます。

そんな時、頼りになるのが自治体が運営する貸付制度です。

自治体が運営する貸付制度で代表的なのは、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度です。母子家庭にとって一番ありがたいのが、利率が低いことでしょう。保証人がいれば、基本的に無利子で借りることができます。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、内閣府男女共同参画局が制定し、厚生労働省が運営する貸付金制度で、20歳未満の児童を扶養している配偶者のない女子または男子、寡婦等を対象にしています。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は色々な用途をカバーしており、利用するには制度で決められた条件を満足する必要があります。

ここでは、自治体が行う母子父子寡婦福祉資金貸付金制度で、貸付金を利用する時の条件などについて詳しく解説していきます。

目次

母子父子寡婦福祉資金の貸付金の利用条件

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、貸付対象であれば無条件に借りられるものではありません。審査は厳格に行われます。

審査の対象は貸付金の種類や自治体によって詳細が異なりますが、一般的には以下の3つが利用条件として重視されます。

  • 返済能力
  • 連帯保証人
  • 面接

返済能力

当たり前ではありますが、きちんと返済出来る見込みのある人が対象です。本人の収入と、連帯保証人の返済能力が合わせて考慮されます。

連帯保証人

連帯保証は、借りた人が返済出来ない時、代わりに支払う事を意味します。

「本人から先に取り立てて」と言う事も出来ないため、貸し付ける側としては、連帯保証人さえちゃんとしていれば問題ない、とも言えます。

収入がある現役世代で、貸付金の申込者と生計が別である事が求められます。

全ての種類で連帯保証人が求められる訳ではありませんが、連帯保証人がいた方が金利面で有利になる場合があります。

面接

申込者と連帯保証人の面接も必要となります。名前だけ借りて連帯保証人を立てるような事は出来ません。

次に、具体的な貸付金項目別の条件を見ていきましょう。

母子父子寡婦福祉資金の貸付金項目別の条件は?

母子父子寡婦福祉資金貸付金の条件について、項目別に見ていきます。

1)転宅資金

母子家庭で、転居が必要になった時の支援を目的とした貸付金です。

支援額は上限260,000円、償還期間は3年以内となっています。

条件として挙げられる対象は、母子家庭の場合「」となっており、児童が独立する際の転居費用は対象とされません。

利率に関しては、連帯保証人を立てることが出来れば無利子、立てられない場合は1%の利子が必要となります。

2)生活資金

母子家庭の場合、生活安定期間に必要な生活補給資金として貸付を受けられます。

貸付の条件としては、まず、母子家庭になって7年未満である事が挙げられます。

支援額は、母親が生計中心者の場合で月額105,000円、合計252万円となっています。償還期間は、生活安定貸付の場合は8年以内です。

こちらの金利に関しても、連帯保証人を立てる事が出来れば無利子、立てられない場合は年1%の利子となります。

3)修学資金

子供の教育についての資金です。高校~大学院までの授業料や交通費等の資金の貸し付けとなります。

高校から大学院、専修学校など、8種類の学校を対象にし、各学校ごとに支給額が決められています。高校で月額52,500円、短期大学で月額131,000円、大学で月額146,000円、専修学校で月額51,000円となっています。

償還期間は、専修学校の5年以内を除いて20年以内と最も長く、利率は無利子です。

利用する場合の条件として、特に連帯保証人に関する記述があります。

具体的には、貸付金を親と児童のどちらに貸し付けるかによって、条件が異なります。親に貸し付けられた場合は児童を「連帯借受人」とする必要があります。

連帯貸借とは、その貸付金を親子で一緒に借りているという意味です。両者が返済義務を負い、貸した側もどちらに返済を請求しても良いというものです。

児童に貸し付けられた場合、親などが「連帯保証人」となる必要があります。

4)就職支度資金

こちらは、就職するために直接必要な被服(衣類、靴、帽子など)や、通勤用の自動車などを買う為の資金です。

母子家庭の場合支給対象は「母又は児童」となっており、条件の中に母親自身の就職も含まれます。

支援額は通常で100,000円、償還期間は6年以内です。通勤のために自動車を購入する場合は支給額は330,00円となります。

児童への貸付の場合、親が連帯保証人になる必要があります。

親への貸付の場合は、連帯保証人を立てる事が出来れば無利子、立てられない場合は1%の利子が必要です。

5)技能習得資金

就職したり自分で事業を始める際に必要になる知識、技能を習得するために必要になる費用をまかなう資金です。

対象は、母子家庭では「」になります。

支援額は上限で月額68,000円、償還期間はこちらも20年以内と長く、利率は保証人がいれば無利子、いない場合は年1%です。

6)修業資金

技能習得資金の条件が母子家庭の「母」であったのに対し、母子家庭の「子供」を条件にしているのが修学資金です。

支援額は上限で月額68,000円、償還期間は20年以内、利率は修学資金の場合と同じとなっています。

7)住宅資金

住宅を購入、あるいは建設する、今の住宅を補修する、改築増築等する際に必要になる費用をまかなう資金です。

支援額は通常の貸付で上限1,500,000円、償還期間は6年以内、利率は保証人がいれば無利子、いない場合は年1%です。

このほかにも、結婚資金、医療介護資金、事業開始資金、事業継続資金があります。

返済計画は必ず立てる

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、民間の金融機関からの借金と比べると、遙かに良い条件で借り入れる事ができます。

保証人がいなくても利率は年1%、保証人がいれば無利子で借りられるので、これ以上の好条件はないと言っていいですよね。

ですが、無利子であっても返済計画はきちんと立てる必要があります。

子供の将来を予想しながら、必要なものを計画的に利用するバランス感覚を持ちながら、賢く制度を利用していきましょう。

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