給付型奨学金はいいことづくめ?デメリットはない?

今、大学や専門学校に進学する際に奨学金を利用する学生が増えています。

その理由としては、日本全体の景気が低迷し、働く人、学生の親御さんの賃金が上がらない、という大きな社会問題に起因していると考えられています。

奨学金は基本的には利息が付き、自身で卒業後に返還していくものですが、奨学金の中には「給付型奨学金」という返済が不要な奨学金があります。

不況という社会情勢もありますが、元々経済的に苦しいことが多いひとり親世帯、母子家庭世帯にとって、この給付型奨学金は大変助かる制度でしょう。

給付型奨学金は一見すると返還する必要がなく、もらえるだけという点でメリットしかないように思えますが、実はデメリットと言っていい点もあります。

メリットは明確で誰にでもわかりますが、このデメリットについてもよく理解しておかないと、進学できたけど後々困ってしまう可能性もあり、相応の計画性子供の心構えも必要になってきます。

そこでここでは、給付型奨学金にはどのようなデメリットがあるのかまとめていきますので、参考にして下さい。

目次

給付型奨学金の事実

給付型奨学金は返済の必要がないとされていますが、実際の給付額はそれほど多くはありません。これにはいくつかの理由があります。給付型奨学金について、しっかり知ることで、正しい判断をすることができます。

給付型奨学金の実際の給付額

給付型奨学金の給付額は、一見魅力的に見えますが、実際には生活費をカバーするには十分とは言えません。例えば、月々の給付額が5万円であれば年間では60万円になりますが、これで学生生活を支えられるでしょうか?

給付額と学費のギャップ

給付型奨学金の給付額と実際の学費との間には、実は大きなギャップがあります。特に私立大学の場合、学費は高額で給付型奨学金だけでは賄いきれない場合がほとんどです。このギャップを埋めるために、他の資金調達の方法も検討する必要が出てきます。

給付型奨学金のデメリット、給付額には限度があります

まず一つ目のデメリットは、給付型奨学金は給付額に限度があり、給付額も決して多額ではないので、もし受給できたとしても、すべての学費をまかなえるわけではない、という点です。

奨学金を提供してくれるのは、公的機関のほか、私的機関もありますが、いずれも決まった、あるいは決められた予算があり、その範囲内での支給となるからで、支給できる総額が決まっているので、各個人に提供できる奨学金も限度が設定されているのです。

また、給付額の限度は年度ごとに変わる機関もあり、必ずしも固定額とは限りません。そして免除されるのも「入学金」と「授業料」のみです。ですのでその他の施設設備費などは自己負担が必要となり、ここが一番のデメリットと言っていいかもしれません。

月ごとの給付もありますが、生活費をアルバイトなどで補ったとしても、免除額と月の給付を合わせても、ある程度の学費は自己負担になってしまう、ということですね。

ひとり親世帯や母子家庭で給付型奨学金の利用を考えているのなら、この自己負担がどれくらいになるのか、申請する前にちゃんと把握しておく必要があります。

それは、もし負担できないほどかかるようであれば、進学はできたけど途中で学費が払えなくなってやめなくてはいけなくなった、という事態にならないようにするためで、場合によっては進学先を変える必要があるかもしれません。

給付型奨学金のデメリット、生活費を賄うには不十分?

給付型奨学金は、学生の学費を支援するための制度です。しかし、その金額が生活費を賄うには不十分であるという問題があります。生活費とは、食費や交通費、教材費など、学生生活を送る上で必要な費用のことを指します。これらの費用は、学費とは別に必要となります。

給付型奨学金の現実

給付型奨学金の金額は、学費を支援することを目的として決められており、生活費までは考慮されていません。そのため、給付型奨学金を受けても生活費を賄うには不十分な場合が多くなっています。これは、給付型奨学金をもらっているからと言って、安心して生活できるとは限らないことを意味しています。

給付型奨学金のデメリット:、学費全体を賄うには不十分?

給付型奨学金の金額は学資の支援が目的で決められていますが、実は学費全体を賄うには充分ではありません。

学費と給付型奨学金のギャップ

給付型奨学金の金額と、実際に必要な学費との間には、大きなギャップが存在します。これは、給付型奨学金の制度が、学費全体をカバーすることを目指していないからです。学費には授業料だけでなく、教材費や施設費、活動費なども含まれますが、給付型奨学金で支給されるのは授業料だからです。そのため、給付型奨学金を受けても、学費全体を賄うには不十分な場合が多いのです。

給付型奨学金のデメリット、打ち切りになることがある

二つ目のデメリットは、毎年(短期大学や専門学校では年2回)実施される継続審査の結果、成績が悪かったり勉強への意欲が見られないなど、学習態度によっては奨学金の支給が打ち切られる可能性がある、ということです。

給付型奨学金を受給できるのは、そもそも厳しい成績の要件を突破した人であるため、途中で打ち切られることは多くはなく、たいていは大丈夫なのですが、万が一出席日数が足りない、単位が取れていない、留年が確定した、などということがあると奨学金の支給受が打ち切られてしまいます。

そして注意が必要なのが、この打ち切りは給付後に決定し、後から返還が求められるようになるという点です。

もらったものはそのままでその後の給付がなくなる、というわけではないので、学習態度が悪くなって負債を負ってしまうことのないように、真面目に学業に励む必要があります。

ただし、普通に出席し、学んで単位が取れていれば基本的には大丈夫ですので、そこまで気負う必要はないでしょう。

本来の目的からすれば、給付型奨学金は勉学のための支援金ですから、打ち切りはデメリットではない、という見方もできるでしょう。

給付型奨学金のデメリット、条件が厳しすぎる?

そして最後のデメリットは、そもそも給付型奨学金の支給を受けるには、成績の基準家庭の年収の基準が厳しすぎるという点です。

これまでのことを読んで、それでも給付したいと考える方も多くいると思います。ただ、この給付型奨学金は受給したいと思っても、要件が厳しいがために諦めなければならないケースが多くあります。

筆者自身も給付型奨学金を受給したいと思い、高校生活の3年間勉学に励んできました。母子家庭で育ったことから年収の条件もクリアだろうと安易に考えていたのです。

しかし、評定平均の4.0以上(両親がいない場合は3.5以上)をクリアする中、年収の点で受給を受けることが叶いませんでした。

この年収要件は、母子手当で給付を希望する学生のほかに兄弟がいる、というような家庭の事情などは考慮されず、一律で378万円を超えると給付の条件からははずれてしまいます。

しかし中には、ひとり親世帯や母子家庭など家庭環境を考慮し支給に至ることもあるので、もし収入が支給の条件を超えていたとしても、申請してみることをおすすめします。

ただし、証明書を準備したり、申請理由のほか、将来の夢や社会問題に対する意見などを書いて提出するなど、申請にかなりの手間がかかります。そのため、受験勉強の忙しく不安な中、申請したにもかかわらず、結果受給できなかった時のショックは大きいです。

そのため、申請が通ったら運がいい、というくらいの気持ちで審査の結果を待つのが良いかもしれません。

給付型奨学金の受給条件

給付型奨学金を受けるには、一定の条件をクリアする必要があります。条件としては学業成績や家庭の経済状況などがありますが、いずれもクリアする基準は厳しく、誰でも受給できるわけではありません。

学業成績と給付型奨学金

給付型奨学金の受給条件に、学業成績があります。多くの給付型奨学金では、一定以上の学業成績であることが条件になっています。例えば「GPAが2.30以上であること」や「前年度の成績が全科目合格であること」など、具体的な数値や基準で示されています。これらの条件は、一見公平に見えますが、実際には多くの学生がこの条件に満たず、給付型奨学金の受給をあきらめることが多いのが現実です。

学業成績の基準は学校や学部によって異なりますが、一般的には上位一定割合の学生しか給付型奨学金の対象となりません。これは、給付型奨学金が優秀な学生を支援するための制度であるという原則から来ています。しかしこの結果、学業成績が基準を満たさない学生は、給付型奨学金の受給資格を得ることができません。

また、申請時は成績は問題なく奨学金を受給できたとしても、ずっと受給できるわけではありません。この学業成績の基準を下回ると、奨学金の給付が停止される場合があります。一度給付が停止されると、改善するまで奨学金の支給を受けることができません。これは、給付型奨学金が学業に専念できる環境を提供する目的で設計されているため、学業成績が一定の基準を満たすことが強く求められます。

一部の給付型奨学金では、特定の学部や学科、専攻に所属する学生を対象としているものがあり、これには専門的な学業成績の基準も設けられています。例えば理系の学部に所属する学生を対象とした奨学金では、数学や科学の成績が特に重視される、といったことがあります。

成績を維持することは、給付型奨学金を続けて受けるためには欠かせない要件です。これは、奨学金の目的が学生の学業を支援であり、学業に対する一定の姿勢や努力が求められるからです。

家庭の年収と給付型奨学金

給付型奨学金の受給には、家庭の年収が大きく影響します。これは給付型奨学金というのは、主に経済的に困難な家庭の学生の支援を目的としているからです。

具体的には、一定の年収以下の家庭の場合のみが給付型奨学金の対象となることが一般的です。年収の基準は奨学金の種類や提供団体によって異なりますが、例えば「家庭の年収が500万円以下であること」などと明示されています。

この年収基準を超えると、基本的には給付型奨学金の支給を受けることはできません。そしてこの年収基準は、学生本人だけでなく、両親や兄弟の収入も含めて計算されるので、注意が必要です。

年収だけでなく、家庭の財産状況(例えば、土地や預貯金)も給付型奨学金の受給条件となっているところもあります。目的は、実際の生活費の支払い能力をより正確に把握するためで、その結果として、奨学金を本当に必要としている学生に給付されるようになっています。

家庭の経済状況は、給付型奨学金の受給条件の中でも非常に重要です。給付型奨学金が学生の経済的負担を軽減し、より多くの学生が高等教育を受けられるようにするための制度だからです。

こういった状況を改善するためには条件の緩和が必要ですが、その一方で、誰でも資格がもらえるようにしてしまうのも、奨学金の目的からはずれてしまうでしょう。対象を「経済的に学業を続けるのが困難」「学ぶ意欲が強い」「成績優秀」の学生に限定するのはもちろんですが、時代に即した見直しが望まれます。

給付型奨学金のデメリットは小さくない、他の方法も考えておきましょう

以上のことから、ひとり親世帯や母子家庭などで経済的に余裕がない学生の場合、ネット上で提供されているシミュレーターなどを用いて給付型奨学金を受けることができるかを確認し、また、給付額が十分かどうかも確認しておくのが賢明です。

そして、もし受給できないからと言っても諦めずに、奨学金には利息無しで貸与ができるものもありますので、真面目に学生生活を送っておくことが大切です。利息のあるなしは大きいですよ。

それでも給付額が足りない場合、貸与型の奨学金と併用するという方法もありますが、これは最後の手段でしょう。

給付型奨学金のデメリットは小さくありません。事前に自身の状況と照らし合わせて確認し、様々な方法を検討しておくことをおすすめします。

どの奨学金を選んだらいいか

給付型奨学金は一つの選択肢ですが、他にも様々な奨学金や支援があります。自身の状況に最も合った方法を選ぶことが、将来の負担を軽減する鍵となります。

給付型奨学金と他の奨学金の違い

給付型奨学金は学生への経済的支援の一つですが、最大の特徴は、支給された金額を後で返済する必要がない点です。しかし給付型奨学金の金額は一般的に少なめであり、全ての学費や生活費をカバーするには充分ではありません。

一方で貸与型奨学金は、学生に対して一定の金額を貸し付ける奨学金です。特徴は大きな金額を借りられることで、学費や生活費をほぼ全額カバーすることが可能です。しかし、卒業後には借りた金額を一定の期間内に返済する必要があります。返済条件は奨学金の種類によって異なりますが、負担を少しでも軽くするため、無利息であったり、低利率にしています。

これら以外にも、特定の条件を満たす学生に対して支給される奨助型奨学金や、特定の業績や能力を持つ学生に対して支給される奨学金(例えば、学業成績優秀者向け、特定の分野での業績が認められた者向け)もあります。

それぞれの奨学金の違いを理解し、自分の将来設計や経済状況に合った選択をすることが大切です。例えば、給付型奨学金は返済の負担がないため、将来の返済を気にせずに学業に専念できるメリットがあります。一方、貸与型奨学金は大きな金額を借りられるため、より広い選択肢の中から学びたい分野を選ぶ自由が広がりますが、卒業後の返済が生じる点を考慮する必要があります。

給付型奨学金の受給を考える際の注意点

給付型奨学金を選ぶ際には、いくつかの注意点があります。まず受給条件です。これには家庭の年収や学業成績などがあります。奨学金の種類によっては、特定の学部や学科に所属していることが条件とされる場合もあります。

次に、給付額と自身の学費・生活費とのバランスをしっかりと計算します。給付型奨学金の給付額は一般的には学費の全額をカバーするものではないため、どれだけの額を自己負担する必要があるのかを明確にする必要があります。

将来の進路や生活設計との整合性も重要です。例えば、給付型奨学金を受けるためには一定の奉仕活動が求められる場合があり、これが自身の将来のキャリアや生活設計に合わない場合、他の支援を検討する必要があるかもしれません。

給付型奨学金の申請には締切が設けられています。締切を逃さないよう、早めに申請手続きを始めることも重要な注意点です。

以上を総合的に考慮し、自身の状況に最も適した奨学金を選ぶことが将来的な経済的な安定に繋がります。

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