今、大学や専門学校に進学する際に奨学金を利用する学生が増えています。
その理由としては、日本全体の景気が低迷し、働く人、学生の親御さんの賃金が上がらない、という大きな社会問題に起因していると考えられています。
奨学金は基本的には利息が付き、自身で卒業後に返還していくものですが、奨学金の中には「給付型奨学金」という返済が不要な奨学金があります。
不況という社会情勢もありますが、元々経済的に苦しいことが多いひとり親世帯、母子家庭世帯にとって、この給付型奨学金は大変助かる制度でしょう。
給付型奨学金は一見すると返還する必要がなく、もらえるだけという点でメリットしかないように思えますが、実はデメリットと言っていい点もあります。
メリットは明確で誰にでもわかりますが、このデメリットについてもよく理解しておかないと、進学できたけど後々困ってしまう可能性もあり、相応の計画性や子供の心構えも必要になってきます。
そこでここでは、給付型奨学金にはどのようなデメリットがあるのかまとめていきますので、参考にして下さい。
給付型奨学金のデメリット、給付額には限度があります

まず一つ目のデメリットは、給付型奨学金は給付額に限度があり、給付額も決して多額ではないので、もし受給できたとしても、すべての学費をまかなえるわけではない、という点です。
奨学金を提供してくれるのは、公的機関のほか、私的機関もありますが、いずれも決まった、あるいは決められた予算があり、その範囲内での支給となるからで、支給できる総額が決まっているので、各個人に提供できる奨学金も限度が設定されているのです。
また、給付額の限度は年度ごとに変わる機関もあり、必ずしも固定額とは限りません。そして免除されるのも「入学金」と「授業料」のみです。ですのでその他の施設設備費などは自己負担が必要となり、ここが一番のデメリットと言っていいかもしれません。
月ごとの給付もありますが、生活費をアルバイトなどで補ったとしても、免除額と月の給付を合わせても、ある程度の学費は自己負担になってしまう、ということですね。
ひとり親世帯や母子家庭で給付型奨学金の利用を考えているのなら、この自己負担がどれくらいになるのか、申請する前にちゃんと把握しておく必要があります。
それは、もし負担できないほどかかるようであれば、進学はできたけど途中で学費が払えなくなってやめなくてはいけなくなった、という事態にならないようにするためで、場合によっては進学先を変える必要があるかもしれません。
給付型奨学金のデメリット、打ち切りになることがある

二つ目のデメリットは、毎年(短期大学や専門学校では年2回)実施される継続審査の結果、成績が悪かったり勉強への意欲が見られないなど、学習態度によっては奨学金の支給が打ち切られる可能性がある、ということです。
給付型奨学金を受給できるのは、そもそも厳しい成績の要件を突破した人であるため、途中で打ち切られることは多くはなく、たいていは大丈夫なのですが、万が一出席日数が足りない、単位が取れていない、留年が確定した、などということがあると奨学金の支給受が打ち切られてしまいます。
そして注意が必要なのが、この打ち切りは給付後に決定し、後から返還が求められるようになるという点です。
もらったものはそのままでその後の給付がなくなる、というわけではないので、学習態度が悪くなって負債を負ってしまうことのないように、真面目に学業に励む必要があります。
ただし、普通に出席し、学んで単位が取れていれば基本的には大丈夫ですので、そこまで気負う必要はないでしょう。
本来の目的からすれば、給付型奨学金は勉学のための支援金ですから、打ち切りはデメリットではない、という見方もできるでしょう。
給付型奨学金のデメリット、条件が厳しすぎる?

そして最後のデメリットは、そもそも給付型奨学金の支給を受けるには、成績の基準や家庭の年収の基準が厳しすぎるという点です。
これまでのことを読んで、それでも給付したいと考える方も多くいると思います。ただ、この給付型奨学金は受給したいと思っても、要件が厳しいがために諦めなければならないケースが多くあります。
筆者自身も給付型奨学金を受給したいと思い、高校生活の3年間勉学に励んできました。母子家庭で育ったことから年収の条件もクリアだろうと安易に考えていたのです。
しかし、評定平均の4.0以上(両親がいない場合は3.5以上)をクリアする中、年収の点で受給を受けることが叶いませんでした。
この年収要件は、母子手当で給付を希望する学生のほかに兄弟がいる、というような家庭の事情などは考慮されず、一律で378万円を超えると給付の条件からははずれてしまいます。
しかし中には、ひとり親世帯や母子家庭など家庭環境を考慮し支給に至ることもあるので、もし収入が支給の条件を超えていたとしても、申請してみることをおすすめします。
ただし、証明書を準備したり、申請理由のほか、将来の夢や社会問題に対する意見などを書いて提出するなど、申請にかなりの手間がかかります。そのため、受験勉強の忙しく不安な中、申請したにもかかわらず、結果受給できなかった時のショックは大きいです。
そのため、申請が通ったら運がいい、というくらいの気持ちで審査の結果を待つのが良いかもしれません。
給付型奨学金のデメリットは小さくない、他の方法も考えておきましょう

以上のことから、ひとり親世帯や母子家庭などで経済的に余裕がない学生の場合、ネット上で提供されているシミュレーターなどを用いて給付型奨学金を受けることができるかを確認し、また、給付額が十分かどうかも確認しておくのが賢明です。
そして、もし受給できないからと言っても諦めずに、奨学金には利息無しで貸与ができるものもありますので、真面目に学生生活を送っておくことが大切です。利息のあるなしは大きいですよ。
それでも給付額が足りない場合、貸与型の奨学金と併用するという方法もありますが、これは最後の手段でしょう。
給付型奨学金のデメリットは小さくありません。事前に自身の状況と照らし合わせて確認し、様々な方法を検討しておくことをおすすめします。