母子家庭になると国民健康保険料はいくら払うことになる?

様々な事情で母子家庭となった時、今まで配偶者の被扶養者として免除されていた様々な料金を自分で支払う必要が出てきます。

そういった料金の中でも、地域や年度で変わるため、今ひとついくらになるかなかなか把握が難しいのが国民健康保険料でしょう。

母親であるあなた自身が元々会社で働いている場合は、その会社が加入している健康保険の被保険者になりますが、国民健康保険というのは、他の健康保険から外れた時には即座に加入となる隙間を埋める保険です。

また会社が加入している健康保険では、支払う保険料の半分は会社が負担してくれますが、会社で働いていない場合は、国民健康保険料の支払いは全額自己負担になります。

母子家庭になる前から会社で働いていて母子家庭になってからもそのまま、という方であれば、自己負担は半分ですが、母子家庭になる前は専業主婦という方は、保険料全額を自分で払わなくてはいけなくなります。

さらに、国民健康保険は民間の保険のように個人が任意で加入や脱退するものではなく、国民全員が加入することになっています。「今は元気で滅多に病院に行かないから、10年後から入ります」というような事はできません。

母子家庭になり一時的に収入がなくなる、あるいは収入が減る、という方は少なくないでしょう。加入しないといけない国民健康保険、その国民健康保険料はいくら必要なのか、とても心配になりますよね。

ここでは、母子家庭になると国民健康保険料はいくら払うことになるのか、見ていきます。

目次

母子家庭の国民健康保険料はどのようにして決まる?

国民健康保険料と一言で言っても、実際にはいくつかの要素を元に計算されることになっています。

一般的に言われる国民健康保険料は、厚生労働省のHPでは、

「世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分の各種類を計算し、それらを合計したもの」

と定義されています。

そして国民健康保険料の賦課方法は、「受益に応じた応益割、負担能力に応じた応能割があり、その各々に2種類の賦課方法がある」となっています。

種類               賦課方法
応益割均等割世帯に属する被保険者数に応じて賦課(子供を含む)
平等割世帯ごとに賦課
応能割所得割世帯に所属する被保険者の所得に応じて賦課
資産割世帯に所属する被保険者の固定資産額に応じて賦課

この4種類がすべて足し合わされるのではなく、各市町村の判断で、所得割+均等割、所得割+均等割+平等割、所得割+資産割+均等割+平等割のいずれかを選択できるようになっています。

これは言い換えると、国民健康保険料は人数と世帯の分、必ず発生することになるので、もし収入がゼロだったとしても発生します。母子家庭になる前は専業主婦で収入がない、という方には厳しい話ですよね。

そこで、母子家庭である事のみを理由とした軽減はありませんが、低所得になった事で国民健康保険料の減額制度が適用される場合があります。

母子家庭が利用できる国民健康保険料の減額制度とは?

国民健康保険料の減額制度

母子家庭が利用できる国民健康保険料の減額制度というのは、法令により定められた所得基準を下回る世帯に対し、被保険者応益割(均等割・平等割)額の7割、5割又は2割を減額する、という制度です。

所得と減額の割合は次のようになっています。(厚生労働省HPより抜粋)

減額割合対象者の要件(令和3年)
7割43万円以下
5割43万円+(被保険者数)x28.5万円以下
2割43万円+(被保険者数)x52万円以下

母子家庭でこの要件に該当する方であれば、減額制度の利用が可能です。

国民健康保険料を試算

国民健康保険は自治体が運営しているため、住んでいる地域や年度によって国民健康保険料の具体的な金額は変動します。

ここでは令和4年度の札幌市を例に、母1人、子1人の母子家庭、所得85万円(給与収入140万円)で、基本的な国民建国保険料がいくらになるか、試算してみましょう。

(1)均等割、平等割りの軽減

低所得世帯による軽減制度で、所得43万円以下で70%の減額、それより多い場合も、子供の数等により50%か20%の減額が適用されます。

例の所得の場合は50%の適用となります。
 
以下の均等割・平均割の単価は、50%適用後です。

(2)所得割用の所得額:42万円

 給与収入:140万円
 給与所得控除:55万円
 基礎控除(※住民税):43万円
 
 140万円 – 55万円 – 43万円 = 42万円
 
所得税の基礎控除48万円とは異なります

(3)内訳の計算

(A)医療分保険料:68,330円(10円未満切捨)

 所得割:42万×8.63%=36,246円
 均等割:8,600円×2人=17,200円
 平等割:14,885円×1世帯=14,885円

(B)支援金分保険料:23,040円(10円未満切捨)
 所得割:42万×2.93%=12,306円
 均等割:2,880円×2人=5,760円
 平等割:4,980円×1世帯=4,980円

(C)介護保険料:16,530円(10円未満切捨)
 ・所得割:42万×2.44%=10,248円
 ・均等割:2,655円×1人(※)=2,655円
 ・平等割:3,635円×1世帯=3,635円
 ※49~65歳未満のみのため、1名の適用

(4)合計額:10,790円(年額)

(A)+(B)+(C)=10,790円(年額)

子供一人の母子家庭では、国民健康保険料は10,790円となりました。

なお札幌市の場合、公式サイトに金額の早見表があるため、細かい計算をせずに自分の給与から自分の国民健康保険料がいくらかを知る事が可能です。

他にも、地域まで指定して試算が行えるウェブサイトもありますので、母子家庭の方はぜひ参考にして下さい。

母子家庭の国民健康保険料、計画的に納付しましょう

母子家庭になって収入が減少した時、国民健康保険料の負担は決して小さいものではありません。

しかし、もし滞納状態にあると、受診への心理的な抵抗から治療が手遅れになる可能性もあります。母子家庭でご自身に何かあると生活すべてに影響してきますよね。自分自身や子供の健康維持のためにも、適切に国民健康保険料の負担額を把握し、計画的な納付を心がけましょう。

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