給付型奨学金を母子家庭が利用できる年収の目安は?

母子家庭で子供を進学させたいけど経済的に難しい、という方は多いと思います。

母子家庭をはじめとして、ひとり親家庭の生活を支援してくれる制度は色々とありますが、その中でも、子供の学費を支援してくれる制度のひとつに奨学金があります。

奨学金を利用するためには決められた条件に当てはまる必要がありますが、その条件として、収入、年収があります。年収が少ないということは、言い換えると学費を払うのが困難ということですから、そういう家庭を支援するのが目的です。

奨学金には2つの種類があり、1つは貸与型奨学金、もう1つは給付型奨学金です。

貸与型奨学金は貸与、つまり一旦お金を貸しましょう、という奨学金です。借りるわけですから返す必要があり、学校を卒業して働くようになったら給与から返済していく、というシステムです。

これに対して給付型奨学金は給付、つまりお金を支給してくれる、返さなくてもいい奨学金です。子供に勉強する意欲はあっても年収が低く、経済的に苦しくて進学が難しいという母子家庭や、ひとり親家庭を支援するために生まれた奨学金と言えるでしょう。

奨学金は一般的に公的機関、民間機関双方で運用されていますが、給付型奨学金の代表的な機関は、日本学生支援機構です。

母子家庭の方が日本学生支援機構が運営する給付型奨学金を受けるためには、独自に決められた条件をクリアする必要があります。それは主に、子供の学力、世帯の年収と資産です。

給付型奨学金を受けるには、この条件の全てを満たす必要がありますが、どれくらいの年収が対象になるのか、目安はいくらくらいなのか、学力ってどれくらい必要なのか、よくわからないですよね。

そこでここでは、給付型奨学金を利用できる年収の目安や、もうひとつの条件である学力について、解説したいと思います。母子家庭の方で給付型奨学金を考えているのであれば、ぜひ参考にして下さいね。

目次

給付型奨学金を利用できる年収の目安は?

年収

まず年収です。

給付型奨学金を利用できる条件は、生徒を扶養している世帯全体が住民税非課税であること、です。住民税非課税になるのは決められた年収以下の世帯ですから、その年収が目安になってきます。

同じ母子家庭であっても、それなりの年収を得られている家庭と住民税が免除になっているほど経済的に苦しい家庭では、もちろん苦しい家庭の方が支援の対象になる、ということですね。

年収の目安ですが、具体的な金額は日本学生支援機構に掲載されています。実際には世帯の事情が考慮され、それによって基準が変動することがあります。

特に同じ世帯に障害を持つ人を扶養している場合や、世帯に無収入の家族が複数いる場合などは、目安の年収だけでなく、状況と必要に応じた上で他の基準を条件に入れ、給付が認められる可能性があります。

このことから、たとえ決められた年収の基準を超えていたとしても、給付を受けられる可能性がある条件が揃っているという場合は、事前に日本学生支援機構に相談してみましょう。

資産

次に資産です。年収が少なくても所有している資産の目安によっては、給付型奨学金の利用は認められないことがあります。

資産の基準では、世帯が保有している資産を対象としています。

設けられている基準としては、本人と同じ世帯で家計を一とする者が保有している資産の合計が調査の対象となります。対象となる資産は有価証券を含む資産として持っている現金などで、不動産資産は基準の対象になっていません。

母子家庭の場合は、世帯としての資産の合計が1250万円以下が目安になっています。

もし財産分与などで資産がある場合、奨学金を申請する前に不動産を除いた資産がどれくらいあるのか、目安でいいので確認しておきましょう。

給付型奨学金を利用できる年収の目安、学力も必要?

学力における基準では、奨学金の申請時に在学している成績が、5段階評価中「3.5以上」を満たしていることがひとつの目安になります。真ん中くらいでは駄目で、最低でも上位の下くらいのレベルが求められていることがわかります。

またこの基準は申請までの成績のみが対象となるのでなく、進学後にも対象となり、もし進学した学校で成績がこの基準を下回ったり、出席の意思が認められないなど、進学先で学習意欲に問題があると判断された場合には、制度の利用停止に該当し、奨学金が打ち切られることになっています。

具体的に成績や学習意欲がどうなると打ち切られるのか、その目安は各学校で決めていますが、常識で判断できる範囲内としているのが一般的です。

このことから、進学先で奨学金の支給を受けることが決まったあとでも、学力と学習意欲は継続して確認される、ということですね。これは、無償で学費を提供してくれている以上、最低限の義務と言い換えることができるでしょう。

給付型奨学金を利用できる年収の目安、新給付型奨学金制度とは?

2020年4月からは新給付型奨学金制度が開始されており、対象となる学生が拡大されると共に支援が増額されています。

申し込みにおける要件緩和が施行され、非課税世帯に限定されず、それに準ずる世帯でも対象とされました。これにより、それまで住民税非課税世帯ではないけれど、それに近いくらいの年収しかなかった母子家庭でも利用できるようになりました。

具体的には、目安となる世帯の年収が300万円未満を第二区分、380万円未満を第三区分と設定し、それぞれに支援額が決められています。また、これまでの優良な成績であるという要項に加え、進学への意欲の程度が基準内容として追加されています。

また新制度では、学習に専念するために支援金額が増しています。

給付は年間で、国公立の場合は約80万円を目安、私立の場合は約90万円を目安とし、これまでより手厚い支援内容となっています。

給付型奨学金を利用できる年収の目安、注意点は?

給付型奨学金は返済しなくてもいいので、経済的に苦しい母子家庭やひとり親家庭にとってはとても大きな助けになります。子供には頑張って学んで欲しいですよね。

でもいいことばかりではありません。給付型奨学金の申請と利用を希望する場合には、注意点もあります。

母子家庭の中には、既に何らかの形で働いて家計を助けている子供もいますが、この収入は世帯収入として加味されます。このため、収入の目安を超過していないかを確認する必要があります。

また、進学したいと思う学校が希望する給付型奨学金の対象となっているか、調べる必要があります。

給付型奨学金は貸与型奨学金と合わせて利用することができますが、併用する場合には、併用する奨学金が貸与型奨学金第一種であると支給金額の上限が下がる可能性があります。

また無利子で給付される奨学金には、支援の均等を図るため、給付される金額の目安が変わる可能性もあります。

さらに、給付型奨学金は卒業まで利用が可能というわけではなく、状況によって支援の停止や返還請求が生じる場合もある制度です。

確かに利用できる条件も厳しく、給付を受けてからもしっかり学習することが必要ですが、それは同時に子供の将来にもいいことではないでしょうか。

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