母子家庭で子供がまだ幼い場合、仕事をしながら育児をして、そして家事もしなければなりません。すべてを一人でやっているシングルマザーもたくさんいると思います。しかも子供も小さいのなら仕事に色々制限がかかるでしょう。また、働く場所だって限られます。
正社員なら交通費も満額支給されるでしょう。でもパートやアルバイト、契約社員になると、自ら選んだ働き方とは言え、望んだ収入を得ている方は多くはないと思います。
仕事を探す時、子供のことなどを考えると基本は職場の近くに住むのが理想ですよね。
でも実際には自分に都合のいい場所が見つかるとは限らず、家賃を優先して職場から離れていたり、高いけど無理して近い賃貸に住んでいるというケースは少なくないでしょう。
もし家賃がもう少し安ければ職場に近い所に住める、生活費が苦しくなってきたので安い賃貸に変わりたい、そういうとき、母子家庭を支援してくれる賃貸の優遇制度があることを知っていますか?
賃貸の優遇制度には色々な種類があり、決められた条件に合えば、誰でも利用をすることができます。
ここでは、母子家庭の方が利用できる賃貸物件向けの優遇制度について、ご紹介したいと思います。
母子家庭の方が利用できる賃貸の優遇制度とは?

政府や各自治体においては、母子家庭をはじめとするひとり親世帯の支援のために、賃貸物件を対象に補助や助成、手当などの優遇制度を提供しています。しかし大小合わせると、どれが母子家庭の自分たちに該当するかを把握するのは、正直なところ難しいかと思います。
また、こうした公的機関による支援でなく、会社が独自に賃貸の補助をする助成金を設けているところもあり、こうした民間の優遇制度も色々あります。
そこで今回は、母子家庭が利用できる賃貸の優遇制度や、知っておきたい「特定優良賃貸住宅」について解説していきます。
母子家庭が利用できる優遇制度、家賃補助とは?

母子家庭が利用できる1つ目の優遇制度は「家賃補助」です。
家賃補助は大きく分けて2種類あります。
住んでいる自治体から支給される家賃補助
こちらは政府の支援ではなく、各自治体が提供しているのが特徴です。賃貸暮らしでは、どうしても家賃が家計を圧迫しますが、その家賃の一部を支給してくれる助成金です。
この補助を受けることができる条件は、家族構成、収入、賃貸への居住年数などがあり、各自治で決めています。また、これまで払っていた家賃をこの助成金で補える可能性もあります。
金額的には1万円程度が相場なのですが、自治体によっては4万円分減額してくれるところもあります。
東京都世田谷区の例
育児支援にチカラを入れているのが、東京都世田谷区です。
この地区では、母子家庭が転居する場合に限り利用できる、「ひとり親世帯家賃低廉化補助事業対象住宅」という優遇制度があります。利用のための条件は、「世田谷区内の賃貸への転居」です。
他にも注意点が多く存在しています。厳しい審査があることも条件に入ってきます。しかも、入居後も毎年所得審査が待ち構えています。
これを良しと思えるかは、所得によりけりでしょう。収入がその年だけ多くなってしまうと審査に落ちしてしまうからです。どこまで頑張るべきか、そこもポイントになると言えます。
こうした母子家庭に対する優遇制度は、自分たちが住んでいる地域の自治体が実施しているとは限りません。都道府県や市町村が支援策や助成金を提供している可能性もあるので、まずは役所に問い合せてみましょう。
母子家庭が利用できる優遇制度、会社から支給される賃貸の補助

会社の中には独自で賃貸の補助を設定しているところがあります。社員の経済的な支援のほか、社員募集時のアピールといった目的があります。利用できる条件は会社ごとで定めているので、働いている会社の社則を確認してみましょう。
支給額は会社ごとに違いますが、数千円~数万円くらいが相場です。
また賃貸の補助のほか、社宅を設けている会社もあります。
社宅は会社が一括で借り上げている住宅で、社員に割安な家賃で貸し出しています。入居には条件がありますが、同じような賃貸物件を民間で借りるよりかなり割安な家賃で住むことができます。
対象は正社員以外にも、派遣社員でも利用可としている会社もあります。
母子家庭が利用できる優遇制度、特定優良賃貸住宅とは?

ここまでは賃貸物件を借りる場合の優遇制度、助成金について紹介してきました。
しかし、これに当てはまらない場合にはどうすべきでしょう。ここからは、知っておいて損ではない「特定優良賃貸住宅」について紹介したいと思います。
母子家庭、ひとり親が利用できる優遇制度として知っておいてほしいのが、一定の基準を満たした優良住宅の賃貸に対して補助が出る「特定優良賃貸住宅」です。
良質住宅を軽い負担で借りられる、こちらは公的賃貸住宅制度になります。民間ではないので、しっかり安心感が加わることにもなります。
仕組みについて
「特定優良賃貸住宅」の仕組みはとてもシンプルです。
土地のオーナーが住宅金融公庫の資金を利用して良質な賃貸住宅を建てます。その賃貸物件を軽い負担で借りることができるというものです。住宅金融公庫は国から家賃補助を受けています。
良質物件を建てるオーナーは住宅金融公庫と委託契約を交わしています。住宅金融公庫はオーナーと委託契約を結びながら、母子家庭を含む各世帯に対して募集をかけたり、管理を行うのが役割です。
公的援助があるからこそ、オーナーと住宅金融公庫、母子家庭というトライアングルが成り立ち、母子家庭は優遇の恩恵を受けることができます。
しかし、ここにも注意点があります。この「特定優良賃貸住宅」は中堅所得ファミリー層向けだということです。
入居者の所得に応じて家賃補助が出るのは魅力ですが、それだけ所得がなければ借りることは難しくなります。もちろん、礼金や仲介手数料が不要で優良住宅が借りられる、というメリットは大きいでしょう。
また、入居に際してはファミリー世帯が優遇され、優先入居できると言われています。
母子家庭も立派なファミリーに変わりはないのですが、優遇資格のある方々のなかには、申込日現在、婚約中の未婚である方をはじめ、入居する方が2人以上です。その家族が夫婦(内縁の関係にある方を含む)であったりもします。
こうした方々と同じように申し込みを行うため、優先入居できる可能性はやはり所得額になるかと思われますが、これは母子家庭の方にはなかなか厳しい条件でしょう。
しかし、もし母子家庭でも再婚を考えているのなら、利用したい補助ではないでしょうか。いずれは、そうした考えで情報を集めておくのも悪くはないかと思います。
母子家庭が利用できる優遇制度、賃貸にもあるのを知らない人は多い?
母子家庭を対象にしている支援というのは政府だけではなく、各自治体でも提供されていますが、そのことを知っているシングルマザーは少ないのではないでしょうか。
誰にでも支援してくれる?対象に入る?など、知りたいこともあるかと思います。だからこそ、優遇制度について知ってほしいと思います。
ぜひ、賃貸探しの際には参考にして下さい。