母子家庭で、今は賃貸に住んでいるけど、頑張って働いて将来は自分の家を持ちたい、と思っている方もいると思います。
公団住宅は家賃も安くて経済的には助かりますが、子供が成長するにつれてどうしても狭くなってしまうし、インテリアを変えたくても自由がきかない、必ずしも便利ではないなど、いっぱい妥協をして住んでいるのではないでしょうか。
そうなると、やっぱり自分の家を持ちたい、と考えるのは自然な流れかもしれません。
でも最大の問題は、住宅購入には莫大な費用がかかることでしょう。
マイホームは人生で一番高価な買い物、と昔の人は言いましたが、それは今でも変わっていないですよね。多くの人は、住宅購入に長期の住宅ローンを組んでいるのはそのためです。
母子家庭でもし住宅購入しようと思えば、同じように住宅ローンのお世話にならざるをえませんが、実は、経済的に苦しい家庭に対して支援してくれる補助制度が色々あるのをご存じですか?
その補助制度は必ずしも母子家庭だけを対象にしているわけではありませんが、支援の条件に当てはまっていれば問題なく利用することができるので、そうなると住宅ローンを組んでも負担を抑えることができます。
ここでは、その補助制度について、詳しく見ていきます。
母子家庭が受けられる住宅購入の補助には何がある?

母子家庭が受けられる住宅購入の補助は、大きく分けて3種類あります。
- 補助金制度
- 減税制度
- 貸付金制度
順番に見ていきます。
補助金制度
すまい給付金
住宅購入時の補助金制度としては現在、すまい給付金があります。新築住宅、中古住宅どちらでも利用可能です。
すまい給付金というのは、かつて消費税が8%から10%に引き上げられた際、住宅購入の負担を軽減するために制定された国の制度です。住宅購入時に収入に応じた金額が支給される制度なので、住宅ローンの負担を軽くしてくれるわけではありませんが、初期費用を抑えることができます。
ただし実施期間が決められており、一部地域を除いては2021年12月31日で終了しています。そのため、ご自身の住む地域ですまい給付金がまだ利用できるか、自治体に確認してみましょう。
利用の条件
すまい給付金を利用できる条件は、
- 住宅の持ち主と住宅購入者が同じであり、かつ、購入した住宅に住むこと
- 年収775万円以下であること
となっています。
またこれ以外にも住宅に関わる条件として
- 床面積が50㎡以上であること
- 現行の耐震基準を満たすこと(中古住宅の場合)
- 購入する住宅が、第三者により一定の品質が確認されていること
があります。
支給される金額
支給される金額は収入によって変わり、以下の式から算出されます。
支給額=給付基礎額 X 持分割合
<給付基礎額>
都道府県民税の所得割額から決まります。と言っても、都道府県民税の所得割額て何?ですよね。国土交通省のHPでは、次の様に記載されています。
都道府県民税の所得割額は、給与所得者のいわゆる額面収入から、経費相当(給与所得控除)や世帯属性に伴う控除などの各種項目を控除した額に都道府県民税率を乗じた額から調整控除の額を引いて算出します。 収入額と都道府県民税の所得割額の関係は世帯の構成等により異なります。
これでもまだわかりにくい….
そこでHPでは
都道府県民税の所得割額は、市区町村が発行する課税証明書(住民税非課税者の場合は非課税証明書)により確認します。課税証明書では、発行年度の前の年の収入(例えば令和3年度課税証明書であれば、令和2年1月~12月の収入)により決定される都道府県民税の所得割額が証明されます。
と記載されています。
つまり、課税証明書があればわかる、ということなので、専門的な用語は理解できなくても大丈夫そうです。
<持分割合>
住宅購入時、自分のほかに住宅ロ-ンを負担している人がいる、といった場合に適用され、以下の式で算出されます。
持分割合 = 名義人の支払った額(住宅ローン含む) ÷ 不動産の購入代金
2人で均等の住宅ローンを負担した場合だと、持分割合=0.5 となります。母子家庭で住宅ローンを組むのは自分一人というときは、持分割合=1ということになります。
実際の支給額は、所得割額や政令司令都市かどうかなどによって変わってくるので、国土交通省の「すまい給付金シミュレーション」を使って計算することができます。
支給額の具体的な例をあげると、年収450万円以下の世帯の給付支給額は50万円となっています。
こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅支援事業も国土交通省が制定する支援制度で、HPでは以下の様に定義されています。
子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や住宅の省エネ改修等に対して補助することにより、子育て世帯や若者夫婦世帯の住宅取得に伴う負担軽減を図るとともに、省エネ性能を有する住宅ストックの形成を図る事業です。
どのような制度かは、こどもみらい住宅支援事業事務局ホームページ
に詳しく解説がありますが、例をあげますと
<使用できる対象者:新築の住宅購入の場合>
①子育て世帯または若者夫婦世帯である
子育て世帯とは、申請時点において、2003年4月2日以降に出生した子を有する世帯です。若者夫婦世帯とは、申請時点において夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降に生まれた世帯です。
②こどもみらい住宅事業者と不動産売買契約を締結し、新築分譲住宅を購入(所有)する方
「こどもみらい住宅事業者」は、購入者に代わり交付申請等の手続きを代行し、交付を受けた補助金を購入者に還元する者として、予め本事業に登録をした住宅事業者です。
対象となる物件にも条件があります。
①所有者(購入者)自らが居住する
②土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
③不動産売買契約締結時点において、未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
④住戸の床面積が50㎡以上である
⑤証明書等により、下表のいずれかに該当することが確認できる
・ZEH住宅
・高い省エネ性能等を有する住宅減税制度
・一定の省エネ性能を有する住宅※
⑥交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる
<支給額>
ZEH住宅 | 100万円 |
高い省エネ性能等を有する住宅 | 80万円 |
一定の省エネ性能を有する住宅 | 60万円 |
ただしこの補助制度には期限があり、2023年3月31日まで申請受付分となっています。
このほかにも、自治体によっては独自の補助金制度を提供している自治体もあるので、居住予定地域のHPを確認してみましょう。
減税制度
減税制度とは、住宅購入により所得税や固定資産税などの税金が減額される制度です。
住宅ローン減税
こちらも国土交通省が運用している制度で、年末に残っている住宅ローンの1%が減税されることになっていますが、実施期間がすまい給付金を同じで、基本的に2021年12月31日でしています。
ただ、すまい給付金は一部地域では2022年末まで実施しているので、住宅ローン減税についても確認しておきましょう。
固定資産税減税
住宅を所有すると毎年必ず徴収されるのが固定資産税です。住宅がある地域の地価をもとに算出される税金で、地価が変われば金額も変わります。
住宅ローンではありませんが、ローンと同じように毎年払わなくてはいけないので、減額されれば助かりますよね。ただ、対象が2022年3月31日までの新築物件ということで、もしそういう住宅が残っていれば、ということになります。
貸付金制度
貸付金制度には色々な種類がありますが、ここでは国や自治体がお金を貸してくれる制度のことを指しており、一般的な住宅ローンや金融機関で借りるよりも利子が低かったり、無利子で借りられるのが特徴です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
国が提供している制度で、この制度では様々な用途に対して貸付をしていますが、住宅購入の場合には住宅資金が該当します。
<利用者の条件>
母子家庭の母、父子家庭の父、寡婦のいずれかであること
<貸付の金額(上限)>
一般:1,500,000円
特別:2,000,000円
<金利>
保証人有:無利子
保証人無:年1.0%
<返済期限>
6年以内
利用するためには審査に通る必要があります。
母子家庭で住宅購入の補助を利用、買った後の出費に注意

見てきたように母子家庭の方が利用できる補助制度には色々あり、もし全部を利用できれば住宅購入費用は結構おさえることができそうな気がしますよね。
ただ住宅ローンを組んでの住宅購入は、自身の資産になるなどのメリットはありますが、毎月の返済のほかに固定資産税がかかるといったデメリットがあります。
住宅ローンを組むとしても、無理なく返済できる物件を選ぶのが一番大切ではないでしょうか。